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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"

つい瑠衣は総司を見て考え込む…
「総司、そんなに面白いんですか??」
何となくだが聞いて見る瑠衣、自分の知っている限り、面白い話というのは少ない。
「えぇ…
髪の長い片目の女が夜な夜な御所に現れては、社を徘徊し…
"渡せぇー"
って言うのだそうです、ですがその女は幽霊なのでしょうか???
それは社の回りをクルクル回るだけで、何もしないで消えては現れて、現れては消えと繰り返すそうです…
それでいつの間にか"回り霊"なんて名が付いてるそうですよ…
ただ回る為だけに出てきて、害も無く消えて行くそうです…
迷信の延長でしょうねぇ、クルクル回るだけですから」
「はぁ…
"回り霊"ですか…」
片目の女・社・渡せ・??
何か引っ掛かる……
社は封印、渡せは外法、片目の女??
「…!!
総司っ!!
それ迷信では無く本物かも知れませんよ!!」
「はい!?」
片目の女…
この間当代様が刀を掠めた、あの女忍だったら??
確か髪は長かった筈。
結界陣を二つ破壊した、もしかしたら、残りの社の封印を破壊する方法を探してるとしたら?
どうも嫌な予感がする…
真偽は定かでは無いが、一応耳に入れといた方が良いか……
瑠衣は素早く文机に向かい、筆を取り、今の噂話を簡潔に書く、そして自分の髪を一本抜き紙と合わせて折り鶴を折った。
「瑠衣、どうしたのですか!?」
瑠衣は総司の言葉には答えずに、折り鶴に息を吹き掛ける。
「"カタシロよ我の思う所思うがままに飛べ…"」
折り鶴は生きている鳥になり、障子の隙間から空へと飛んで行く………
「瑠衣??」
「あぁ…
繋ぎの型代ですよ、外宮に向けての伝言です」
筆をしまい、また火鉢で暖まる瑠衣、当たりならば良いのだが…
「今の話で何か?」
総司は首を傾げている。
「えぇ、もしかしたら当たりかも知れません、御所内の社は全て外法を守る結界なんです…
それに片目の女に心当たりがあります、流石に何度も御所内には入れ無いので、朱雀様にお願いしたんです」
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