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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第26章 "考"

「総司…んっ…はぁ…」
「…はぁ…瑠衣…もっと…はぁ…はぁ…私を求めて…」
瑠衣と総司の口付けは尚も続く…
総司の首に両腕を巻き付け、必死に口付けを返し返される…
お互い口付けを離す気は無い、もっともっと深く深く…
絡まる舌が、掛かる吐息が、お互いを熱くする。
「総司…ぁんっ…もっと…ぁぁ…もっと…」
まるで昨日の事を忘れたい様に、瑠衣は総司を求める。
力の交換は一族の悲しい定め…どんなに嫌でも力を補給しないといけない。
別に自分や当代様が特別なのでは無い、一族の殆がこの"儀式"に関与している…
力を分け合いお互いの力を高める。
ただ表に出ないだけ、一族でも極秘扱いで事は行われる。
連れ合いが居る者は良い、それで力の交換が出来るから…
だが、独り身や力の強い者になると"儀式"は必要不可欠になる。
そう言う自分も嫌々ながらも"儀式"を行って来た。
今回それが嫌で、こんな事になったのだが……
「はぁ…瑠衣…私も…んっ…もっと…求めて…」
「ぁぁ…もっと…ふぁ…総司…はぁ…」
総司との口付けだけで安心する…
今までそんな事は一度たりとも無かった。
ただ無感情に、力を吸収する為だけに体を預ける…
そこに快感も感情もまるっきり無い、ただ人形の様に……
この時代に来て初めて、こういう行為で、感情や快感というものが現れた…
ただそれが総司だけに出れば良いものを、他の男にでも出てしまう。
一度体が覚えてしまったら、元には戻せない…
けど、この感情と快感を捨てる気は全く無い…
温かくて、優しくて‥総司が与えてくれるものが全て嬉しくて……
多分‥総司だけが自分を変えられる、他の人間では無理、総司だからこそ、自分は変わりたいと思うから…
「はぁ…総司…私には…ぁぁ…総司だけ…だから…」
「私も…瑠衣…だけ…です…はぁ…はぁ…」
人斬りの自分を軽蔑しないで見てくれた初めての女性…
そんな瑠衣を自分は手放せる訳が無い。
組の中でも自分を恐れる者は数多い…
しかし瑠衣だけは、自分を自分として見てくれる。
それに‥止めてくれるのも瑠衣ただ一人だ。
瑠衣が居るからこそ、安心して自分のしたい事が出来る、他の人では駄目だ…
誰も自分を止められ無い。
一緒…その約束を瑠衣は守ってくれる。
自分がただ一言言ったその言葉を………

