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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"


(もしかして超低血圧!?)


眠気覚ましとばかりに煙管を吹かしている土方、騒がしい朝に此処だけ静かなのが理解できる"関わりたく無い"それが本音だろう。


「沖田先生から土方副長から紹介があると思うので、副長室に行けと言われたのですが…」

「あぁ…昨日はあの騒動で紹介どころじゃ無かったからな」

「はい、ではよろしくお願いします」

「じゃぁ行くか…」

土方は煙管を始末し徐に立ち上がり部屋を出る…
その後ろを瑠衣も付いて行った。



大広間を前にし土方は足を止めた。

「此処で待ってろ、呼んだら入って来い」

「分かりました」

土方は瑠衣を廊下に待たせ先に大広間の中に入って行った。


土方が大広間に入った途端、騒がしかった中がしんと静まり返る。


(流石は鬼の副長…)


こっそり様子を見ている瑠衣は笑うのを必死に堪えている。

「おめぇら、飯の前に昨日入った新入りを紹介する
橘、入って来い」

土方に呼ばれ大広間の中に入る。


「女!!?」

「違うだろ」

「俺男でも良い…」

瑠衣の姿を見て平隊士共はザワザワと騒ぎ出す
やっぱり此処でも話題は同じ事…

だが幹部達は昨日の一件を知っている為一切言葉を発しない…
特に原田・藤堂・永倉は……


「あぁっーうるせぇ!!
静かにしねぇかてめぇらっ!
黙らなければこの場でその首たたっ切るぞっ!!」

眉間に青筋を立てて怒鳴る土方っ!!
やはり後ろには大般若が見える…

不味いと思ったのか黙りこくる平隊士達、その顔が本気で青白く震える者まで居る。


「とにかく橘、挨拶しろ」


嫌な沈黙の中、中央に進んで土方達を背にして座り挨拶を始めた。


「昨日入隊させて頂きました橘 瑠衣と申します、どうぞよろしくお願い致します」

「橘には、一番隊副隊長をしてもらう」

土方のその言葉にまた驚きを隠せない平隊士達
普通新入りは特別な場合を覗いて平隊士からなのが通例である。

「だってなぁー
総司に勝っちまうしなぁー」

わざと言う原田

「あぁ、総司が立ち会いで気絶するなんて初めて見た」

間髪入れずに永倉も言う、見事な連携である。

原田と永倉の言葉に更に目を見張る平隊士達…

「間違っても襲う気になどなるなよ、俺は命の保証はしねぇからな」

土方も土方で酷い言い草である。
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