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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第26章 "考"

「壬生浪‥そろそろ終わりにしようか…」
吉田が総司に向かって走る…!!
(早いっ!!)
吉田の一撃が総司の横腹目掛けて来る!!
『ガキン…!!』
それを何とか受け止めるが、その勢いを殺さずに、すかさず上へと斬り上げた!!
『ザッ…!!』
かすった程度だが、総司に一撃を入れた吉田。
斬り上げた刀を今度はそのまま下に振り下ろす、その太刀筋は早い…!!
『キ―――――ンッ!!』
「…!!」
此処までと、横から瑠衣が吉田の刀を止めに入った。
「此処からの相手は自分ですよ…」
刀を弾き返し、総司の前に立つ。
「ほぉ…壬生浪がもう一匹か…」
「先生大丈夫ですか?」
「えぇ‥かすり傷です」
今日の総司は暴走はしていない様だ。
「後は自分が…」
そう言って吉田に向かって飛び出す!!
「…!!」
瞬間的に吉田に飛び込み、一線を繰り出す。
吉田はかろうじて避ける‥が!!
着流しが少し切れていた。
「ふん…やるな…!!」
吉田も瑠衣に刀を振るう、だが…
『シュン…シュン…シュン…』
一撃も掠りもしない。
「どうした?
こんな程度か??」
瑠衣は更にに吉田に連撃を入れていく。
あちこち掠り、着流しは切れているが傷は無い。
「ちっ‥此処までか…」
多少分が悪いと見切りを付け、吉田は二人に向かって発光玉を投げ付けて、この場を去った。
「・・・・・・・・・」
自分の攻撃でも一撃も入らなかった…
勿論普通に戦って‥だ。
「…橘さん……」
「…沖田先生!!」
刀を手にその場に立ち尽くしている総司。
瑠衣は刀を収め、総司の元へ走った!
懐から手拭いを出し、総司の左腕の傷を縛る。
「沖田先生…大丈夫ですか?」
注意深く総司を見る。
「…えぇ……
大した事はありませんよ」
そう言って、持ったままだった刀を収めた。
「…本当ですね??」
「えぇ…
戻りますよ橘さん」
「…はい」
一度相手が居た場所を見詰めるが、二人は放火現場に戻っていく・・・
現場に戻れば、もう殆ど後始末は終わっている。
「後は火消しと街の方の仕事になります、戻りますよ」
総司のその言葉に、瑠衣も平隊士達も屯所への道を歩き始める…
屯所に着くまで、総司は無言のままだった・・・

