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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"


幹部棟に歩きながら、島原がそんなに良いのかと、つい考えてしまう。

まぁ‥そんな男が居ないと、島原は成り立たないが…


「そう言えば給金かぁ‥」

物欲に欠ける瑠衣にとって、給金が出ても殆ど使わず仕舞い、給金が出るようになって買った物といえば書物くらいである。

あ、後髪紐も…
それ以外はお土産に団子くらいしか買って無い。

お陰で給金殆どそのままの状態で箪笥の隅で眠っている。


(使い道ってもなぁー)


これが全く思い付かない…
此処まで物欲に無縁だと、返って清々する。

兎に角、報告と勘定方に一応給金を貰いに行かないといけないと思い、幹部棟に向かう足を早めた。





先に勘定方で給金を貰い、着替えと報告書を書く為に自室へと戻り…

そのまま箪笥を開け給金を放り込み、着替えを出したその時……


「おや?
瑠衣の方が早かったのですか」

遅れて総司も自室に入って来た。


「総司の方が先に中に入っていませんでしたか?」

「えぇ、勘定方に給金貰いに行ってたのですよ」

総司も羽織りを脱ぎながら、箪笥から着替えを出す。


「自分も貰って来たんですけど??」

それにしては総司とは会わなかった??

「瑠衣も行ってたのですか」

「はい、余り遅くなると勘定方の迷惑になりますし、一応先に貰いに行ったんです」

総司が気を使って後ろを向いている隙に、着替えを済ませてしまう。


「それにしては総司と会いませんでしたね??」

「あー少々…
野望用もありまして……」

「??
野望用??
自分にも言えない事ですか???」

文机の前に座り、今日の報告書の作成に取り掛かるが……


「別に言えない事では無いのですけどね」

総司も着替え終わり、火鉢の前に腰を下ろす。

「では何ですか、野望用って??」

「あ…
欲しい物があって積み立てしているのですよ」

「欲しい物??」

つい、報告書を書く手が止まった。


総司の物欲…
何となく気になる。

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