この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"

幹部棟に歩きながら、島原がそんなに良いのかと、つい考えてしまう。
まぁ‥そんな男が居ないと、島原は成り立たないが…
「そう言えば給金かぁ‥」
物欲に欠ける瑠衣にとって、給金が出ても殆ど使わず仕舞い、給金が出るようになって買った物といえば書物くらいである。
あ、後髪紐も…
それ以外はお土産に団子くらいしか買って無い。
お陰で給金殆どそのままの状態で箪笥の隅で眠っている。
(使い道ってもなぁー)
これが全く思い付かない…
此処まで物欲に無縁だと、返って清々する。
兎に角、報告と勘定方に一応給金を貰いに行かないといけないと思い、幹部棟に向かう足を早めた。
先に勘定方で給金を貰い、着替えと報告書を書く為に自室へと戻り…
そのまま箪笥を開け給金を放り込み、着替えを出したその時……
「おや?
瑠衣の方が早かったのですか」
遅れて総司も自室に入って来た。
「総司の方が先に中に入っていませんでしたか?」
「えぇ、勘定方に給金貰いに行ってたのですよ」
総司も羽織りを脱ぎながら、箪笥から着替えを出す。
「自分も貰って来たんですけど??」
それにしては総司とは会わなかった??
「瑠衣も行ってたのですか」
「はい、余り遅くなると勘定方の迷惑になりますし、一応先に貰いに行ったんです」
総司が気を使って後ろを向いている隙に、着替えを済ませてしまう。
「それにしては総司と会いませんでしたね??」
「あー少々…
野望用もありまして……」
「??
野望用??
自分にも言えない事ですか???」
文机の前に座り、今日の報告書の作成に取り掛かるが……
「別に言えない事では無いのですけどね」
総司も着替え終わり、火鉢の前に腰を下ろす。
「では何ですか、野望用って??」
「あ…
欲しい物があって積み立てしているのですよ」
「欲しい物??」
つい、報告書を書く手が止まった。
総司の物欲…
何となく気になる。
・

