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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"
「えぇ、刀を一振り…
ひと目で気に入ったのですが、なかなか買える値段じゃ無かったので、店の主人と相談して、毎月少しずつ渡しているのです」
「へぇー刀ですか…
総司が気に入るんならば、かなりの業物ですね」
「えぇ!」
「で、後どれくらい残っているんですか??」
その言葉に総司は深い溜め息を吐く。
「はぁ……
まだ十両ちょっと…」
十両‥この時代でもかなりの大金である………
「…総司……
どうしても欲しいですか??」
「そりゃあもう」
その言葉に、瑠衣は徐に立ち上がり箪笥に向かう、箪笥の隅から袋を一つ出し、総司の側に置いた。
「?????」
「自分はあまり使いませんから、総司が使って下さい」
「えっ??」
総司は袋の中を確認すると、其処には十三両の小判が入っている。
「瑠衣これは??」
「この間の‥副長を巻き込んでの上級の"鬼"を始末した時の報奨金です」
あの場合、当代様も出さざる負えなかったのだろう、土方経由で自分に回って来た物である。
別段使い道が無いので、箪笥に放り込んでいた。
「…良いのですか?」
「何時もの給金すら余してるんですよ自分は」
「本当に??」
「はい、使いたい人が使うのが一番だと思いますし…」
まぁ‥原田とかは例外だとは思うが………
「瑠衣…ありかとう…」
総司の目が、子供のようにキラキラと輝く。
「あぁ……
それで足りなければ月詠から回して貰いますよ、あっちも半分持て余していますから」
人気天神月詠、売られた訳で無く自分から島原に入っているので、金回りは相当良い。
「いえ、此で十分足ります、私ちょっと行って来ますね!!」
総司は大切そうに袋を懐に入れ、バタバタと部屋を出て行った。
そんな総司を見送って、瑠衣はまた報告書の続きを書く事にした・・・・・