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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"



『キ―――ン…ガキ―ンッ…』


夜の空き地に刀がぶつかる音が響く・・・


「はぁぁぁ-!!」

瑠衣は総司の懐に飛び込んで行く。


『シュンッ…』


横一線をヒラリとかわし、総司は次の攻撃体制に入る。


「ふんっ!!」

刀が瑠衣の首筋を前に空を斬る。

どちらも真剣、一撃でも入れば只では済まない。


「良い感じですね総司」

「えぇ、初めてにしては手に馴染みますね」

瑠衣は構えを平青眼にし、総司に向かって走る…


『シュンッ…ガギッ…』


首近くを一線し、そのまま刀を返し袈裟斬りに持っていく、それを受け止める総司、真剣なので、あえて天然理心流を使って総司に剣筋を読ませている。


"私闘を禁ずる"


例え試合であっても、真剣での勝負は本来は法度に触れる行為、此で怪我でもしたら話にならない。

だから同じ流派を使い、太刀筋を読ませて、怪我をしないように気を付けている。


「…今までと変わり無く動いていますね」

「そうですね、長さも重さも問題無いようです」

二人はひと息入れて刀を引いた・・・




「此ならば直ぐ実戦で使えそうです」

「そのようですね、後は癖の問題かと思いますよ」

刀にも、一つ一つ僅かに癖がある、一本一本職人の手作りなのだから、当たり前の話。

その刀の癖を如何に早く見付けるかは、己の技量次第……


瑠衣は刀を収め、自分の刀を見る…

朱桜刀は逆に使い手の癖を読み取り合わせる、普通の刀には無い個性の持ち主、神刀だけあって色々と面白い能力を秘めているが、まぁ‥能力全てを使えるのは使い手だけ。

総司も刀を鞘に納めて、感触を確かめているようだ。


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