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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"
瑠衣は目を細めて、改めて脇差しを見つめてみる。
(封印??)
鞘と鍔の間に幾重にも重なった封印が見て取れる…
その部分に触れ、この封印が悪しき物では無い事を確認、そこで一度脇差しから目を背けた。
(気になるな…
解いて見るか?)
不味ければまた封印すれば良い事、触れたままの手に力を込め絡みあった封印を正確に見つめ一つ一つ解いて行く。
(かなり古い物だな、封印の術式もこの時代でも廃れてしまっているものばかりだ…)
最後の封印を解くと、期待を胸に一度手を離した。
(何が出てくるか…)
もう一度柄に手をかけ、脇差しを抜き刀身が露わになる。
これには主人も総司も目を丸くしている…
今まで誰も抜けなかった脇差しなのだから…!!
その刃は鞘と同じく青白く、刃には何か文字が刻んである。
(古代文字か…)
多分千年いや四~五千年は経ってるであろう…
長い年月封印されていたのにその刀身は錆一つ無い完全な品。
(何処かの御神刀だったのか…??)
神の物では無い人が作りし物だが力に満ちあふれている
刀身に刻まれた文字を良く見てみる…
『七の星々と大地の加護
神々と巫女の加護において甦の刃、力と栄光・星と神の加護を頂かん』
そう古代文字で書いてある…
勿論普通の人間では読めないだろうが。
柄の部分と刀身の隅に小さな力の宝石が見てとれる、文字自体にも力があるようだ。
(自分の朱桜刀程では無いが、確かに力を持っている刀だな…
これは"鬼"を退治するのに使える)
「沖田先生、自分はこの脇差しが良いです」
その言葉に驚きを隠せない二人。
(もし主人が売る気が無いのなら、もう一度封印しなければならない)
只人が持つには少々石と文字の力が強過ぎる、封印も考慮に入れて刀身を鞘に納め二人を‥いや店主見つめる事しか出来ない。
「あんはんが宜しければ、その脇差し差し上げますさかい
何時も沖田はんにお世話になっているお礼どす」
「本当ですか!!
あっ、けど沖田先生…」
後は総司の意思次第である。
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