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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"
暫く考え事に没頭していた瑠衣、其処に下から声が掛かった。
「瑠衣‥どうかしましたか?」
ハッとして下を見れば、気の済んだ総司が木の上を見上げいる。
すかさず瑠衣は大木から飛び乗りた。
「わっ!!
瑠衣驚かせないで下さいよぉー」
「あぁすみません、もう癖ですねこれ…」
「飛び乗り癖ですかぁ?」
「ぁはは・・・」
そんな癖など、あるわけあるか!!
と、言いたいが、此処は敢えて黙っておいた方が賢明だろう。
瑠衣は後始末するべく、結界の中に入って行く…
(派手にやって…)
本物の人間だったらと思うと、やはり良い気はしない。
瑠衣は印を結ぶ…
「"解っ!!"」
無惨な死体だった形代は紙に戻り消えて無くなり、術石は粉々割れた。
「…何にも無くなりましたね……」
総司が周りを見渡して感心したように呟く。
「元々、何も無いんですから、当たり前ですよ」
ただの石と紙‥其れだけ……
「術って不思議ですね、本当に何でも出来て仕舞うのではと思ってしまいます」
そんな総司の言葉に瑠衣は笑う。
「何でも出来たら楽なんですけど、基本的に自然の力を借りて術を行いますから、自然には有り得ない物には、効果が余り無いんですよ」
「自然…ですか?」
「はい、火や水、風や大地などですね、後は神卸しとかもありますが自分は殆ど使いません」
「…それって‥四神様?」
総司は相変わらず鋭い、いや前に説明した事を覚えていたのだろうか?
「はぁ…
その通りです、東西南北、火水風地、朱雀青龍白虎玄武‥全て同じ事です」
「へぇー
なんか凄いですねぇ」
分かっているのかいないのか…
判断に苦しみそうだ……
「まっ、陰陽道なんて、そんなもんです」
瑠衣は手短に話しを切り上げた、これ以上話ても無意味だと思うから。
「そういえば、何を考えていたのですか?」
先程木の上でボーっと考え事をしていた…
総司は首を傾げて瑠衣に聞いて見る・・・
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