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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"
「先程のですか…
戦争‥いや戦って嫌だなって…」
「瑠衣は戦が嫌いなのですか??」
「言い方が少し違いましたね…
戦が嫌では無く、其処に普通の人々が巻き込まれるのが嫌なんです」
「それは……」
総司も複雑な顔をする。
「…話だと思って聞いて下さい…
ある島があったんです…
その島は国の一番端にあり、敵に狙われ続けました…
島の人々は国の為だと、女子供まで武器を取り、相手と戦ったんです」
「・・・・・」
「しかし敵の戦力は何倍も上で、とうとう島に上陸してしまいます…
大人達は女子供を洞穴や家の地下などに隠しますが、敵はその全てを炎で焼き尽くしてしまうのです」
「・・・・・・・」
「其処に残されたものは何でしょうか??
全てを燃やされ、女子供は苦しみながら亡くなっていく…
男共は戦って死んでいく……
家や畑は燃え尽き、島には何も残らない…
生き長らえた人々も島を敵に取られ、自分の国にさえ帰れない…
ただ悲しく祖国を思い、戦で亡くなった人々を悲しみ過ごしていくんです……
そんなに戦がしたいのなら、当事者が勝手に殺し合いをしろ‥ですよ…
罪の無い人々を巻き込んで、悲しみだけを残して………」
「…瑠衣………」
あまりの話に掛ける言葉が見つからない……
「すみません、少し余計な事を話してしまいました…
ただ‥今の形代の光景を見てたら、ふと思っただけです」
本当は現実の話…
事実を言う訳にはいかないので話‥物語として語った。
「…悲しいですね…
国にも帰れずただ思い焦がれるだけ……
関係の無い人々達を巻き込むのは私も嫌です…
それに‥その人々を守る為に我々新撰組は居るのでしょう?」
「…そうですね……
確かにその通りです、少し感傷的になってしまいました」
少し悲しそうながらも笑う…
(今は大戦の時代では無く幕末だ、自分が感傷的になってどうする…!!)
「瑠衣…
余り我慢はしないで下さいね」
「我慢‥ですか?」
瑠衣は分からないと目で訴える。
「瑠衣は私達が知らない事も知っています、それを話せない事も…
でもそれは物凄く辛い事なのですよね…我慢して我慢して…瑠衣が押し潰されるのは嫌ですよ私は……」
その瞬間、瑠衣は総司に抱き付いた!!