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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"
「辛い…ですよ…知っていて…何も出来ない…自分が…辛いです……」
めったに見せない瑠衣の弱音、総司はそんな瑠衣を優しく包み込む。
「瑠衣が前に私に言いましたが、私も言いますよ…
瑠衣、私で良かったら幾らでも愚痴を言って下さい、甘えて下さい‥瑠衣も他の人には決して見せないのですから…」
「…ぅん……」
総司の腕の中で小さく頷く・・・
「たまに…総司に…聞いて…欲しい…」
「えぇ、幾らでも聞きますから…」
広い空き地の隅で抱き合う総司と瑠衣…
互いが互いに必要で大切な存在。
誰も変わりにはなれない…
お互いに心に同じものを隠し持っているからこそ、余計に惹かれ合う。
総司は人斬りとしての自分…
瑠衣は神としての自分…
それを唯一理解してくれる人だから………
屯所への帰り道、総司は先程の事を疑問に思い瑠衣に聞いて見た。
「瑠衣、確か形代でしたか‥私の相手をした六体は、私と同格程度と言いましたが…
私、掠り傷一つ負っていませんよね??」
「はい、総司と同格程度に作りました…
ただし、先月の放火の時に出くわした男と対峙した時の総司ですが……」
「えっ!?」
あの時の自分??
では今は??
「自分が何も考え無しに、稽古に付き合っていたと思いますか??」
「・・・瑠衣の事ですから、何か裏がありそうです」
転んでも只では起きない瑠衣である、何か仕組んでいてもおかしくは無い。
「総司は気付いていませんが、稽古の度に少しずつ速さを上げていっていたんですよ…
ですから、今の総司が形代に勝って当たり前なんです」
総司は目を丸くする、稽古はしていたが、瑠衣の思惑に全く気付かなかった。
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