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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"


実際に自分の目で見て、嫌って程納得した。

打ち込ん来る隊士に胴を一本決め、竹刀を下ろす。


「まだ脇が甘いです、それに中心のズレもまだ直っていませんね…」

「は‥はいっ、まだまだ精進します、有難う御座いました!!」

一礼し後ろに下がる隊士、これで一通りの立ち会い稽古終了。


「後はお互い打ち合いの稽古にして下さい!!」

瑠衣のその言葉に、隊士達は二人一組みになり打ち合い稽古が始まる。


(自分が稽古の師範役ねー)


間違っても有り得ないと思っていた事を、事実やっている。

別に嫌では無いが心境は複雑・・・


(手加減も此処まで来ると、遊んでるみたいだ・・・)


一番隊が弱いと言う訳では無い、平隊士の中でも一番隊隊士はかなり強い。

此でも組一番の精鋭部隊だ、最低でも目録取り以上の隊士が配置されている。

ただ、自分の方が強過ぎるだけ…
そんなのは百も承知だ。

打ち合い稽古を見ながら、瑠衣は此が普通なんだとつくづく思う。


(普通…か……)


自分には絶対に縁の無い言葉…
どんなに姿形が変わろうとも、どんなに普通に見せても、中身は一切変わらない…。


その間も稽古は続く…

夕方前には終わらないといけない、道場の窓から外を見て太陽の陰り具合から時間を計る…
残り四半刻という所か…


「…???」

こんな夕方に何を思ったのか、今日は当番では無い斎藤が道場に入って来た。


「上手くやっているな…」

隊士の稽古姿を見て斎藤は口を開く。


「ぁはは…
沖田先生よりはマシにやってますよ…」

首を竦め苦笑いする瑠衣、総司の教え下手は組内全員が知っている事…


「彼奴の教え下手は昔からだ…
此ばかりは、どうしようも無い」

斎藤も思い出したのか渋い顔をしている。


「天は二物を与えず‥ですか…
はぁ………」

「そう愚痴るな、その為の副隊長だろう?」

「それはそうなんですけどね…」

次の言葉が見つからなく、本当に苦笑いしか出来ない。

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