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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"
「なっ!!!」
法陣が破られ、流石の高杉にも焦りの色が浮かぶ、瑠衣を離し即座に後ろに飛び引いた。
"キーーン"
後ろに下がった高杉の場所に、新たな黒い法陣が現れる……
「次は何の仕掛けだって言うんだ…… …」
総司は身構えるも…
だが、高杉はその言葉と共に法陣も高杉自身も屋敷から消えてしまった。
「はぁ…
瑠衣っ!!」
高杉が消え総司は瑠衣へと近寄る、法陣結界はもう無い。
瑠衣は高杉が離した後、精魂尽き果てて気を失ったようだ。
その首と胸には高杉が付けた痛々しい痣が…
体は力を無くし内股にまで血が流れ‥どれだけ苦痛に耐えていたか伺える。
(…私の為に……)
総司は後ろ手に縛れていた縄を解き、そっと自分が着ていた羽織りを瑠衣に掛けてあげた・・・
「・・・・・・・総司………」
暫くの時が経ち、瑠衣は漸くうっすらと瞳を開けた……
「…瑠衣っ……」
そんな瑠衣を優しく抱き起こし、柔らかく抱き締める…
総司の胸に顔を付けた瑠衣は、必死に何かに耐えているように見える。
「瑠衣…
すみません、私が捕まったばかりに……」
総司その言葉に瑠衣は激しく首を振る。
「自分こそ…
捕まって……
それで…………」
総司の着物を握っている瑠衣の手が微かに震えている。
あんな卑劣極まりないが、だが曲がりなりにも高杉との男女の性行為…
一番見せなく無い姿を総司に見せてしまった…
そんな思いが瑠衣の心を占めてしまっている。
「総司…私…私っ!!」
総司の着物が涙で濡れていく…
初めて見せた瑠衣の涙…
どれだけ辛かったか……
「…瑠衣っ!!」
総司はキツく瑠衣を抱き締める、自分は此処にいるから…
もう安心だからと思いを込めて。
「総司ぃ――っ!!」
総司にしがみつき泣きじゃくる瑠衣、そんな瑠衣の髪を何時ものように撫で、落ち着かせようと何度も何度も髪を撫でた・・・
どれくらいそうしていたのだろう…
瑠衣はやっと泣き止み、少しだけ落ち着きを取り戻し、顔を上げて総司を見た。
その目は泣いて真っ赤になり、周りが腫れぼったい。
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