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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"


瑠璃は今も姿を消して、自分から着かず離れずの場所に居る。

今の所、瑠璃にとりとめ用が無いので、此方側からも呼ぶ事はしない。


「さて…」

何時までも此処に居る訳にもいかないので、瑠衣は自室に戻る事にした。



自室の明かりが点いている、おそらく総司の方が先に戻ったのだろう…
瑠衣は障子を開け中に入った。

「あれ橘さん、先に戻ったのでは無かったのですか?」

「縁側で庭を見ていました」

「庭ですか?」

不思議とばかりに総司は聞く。

「はい、何となく桜の木が気になったので」

嘘はついてない。

「桜の木ですか、もう終わってしまってるでしょう?」

今は夏から秋に変わりそうな季節、桜の木には葉っぱしか残って無い。

「分かっていますが、けど来年また桜は咲きます…
今はじっと我慢をしてるんです」

「我慢ですか?」

「そう、来年自分の一番美しい姿の為に今は我慢して耐えている…
自分にはそう思います」

「咲いても儚いものなのに…」

咲いて散るのが早い桜、まるで新撰組そのものだと瑠衣は思う…
多摩の田舎で我慢をし、京に登り花開き、最後は華々しく散っていく‥
新撰組の歴史を知っているからこそ瑠衣はそう思う。


「確かに儚いですね、ですがそれが五十年、百年と長きに受け継がれて行くんですよね…」

「橘さんは不思議な事を言いますね、五十年、百年後なんて私には想像もつきませんよ」

「不思議ですか?」

瑠衣は総司の顔を見る。

「えぇ、私は今が精一杯ですから、近藤さんの役に立つ事が私の精一杯です」

総司も瑠衣の顔を見る。


(本当の事は言えない、いや言ってはいけない掟)


朱雀として"時渡り"をする時、今いる時間より未来の事は話してはいけないという掟がある。

もし破れば、これでもかと言う普通の人間なら耐えられない激痛に襲われる、そしてしばらく力も使えず、ただ苦しみ抜く事になる
不用意な発言は出来ないのだ。


「今は自分は新撰組隊士です、その任務を全うするのみ、それが今の自分の精一杯です」

「橘さん…」

総司は何とも言えない顔をしている。


「橘さん、あなたには"覚悟"がありますか?」

不意に総司は瑠衣に質問した。
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