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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"


「本当にそっくりですね」

瑠衣をそっと畳の上に下ろし、自分の布団に寝ている形代をしげしげと眺めて見る。


「見えなければ意味が無いですよ…"解っ!!"」

瑠衣の一言で、形代はただの紙の人形に戻ってしまう。


「見事ですね」

「誉められも何も出ません」

「分かってますよぉ」

動けない瑠衣の代わりに、箪笥から寝間着を取り出して渡す。


「ありがとう御座います」

フラフラながらも漸く立ち上がり、寝間着に着替える瑠衣だが、ふと胸を見ると高杉に付けられた痣や傷がある。


(滅茶苦茶やりやがって…)


この分ならば、首にも締められた痣が残っているだろう…
朝までに消さないと不振に思われる、そう思いながら、何とか布団までは辿り着いた。


「はぁ…
疲れました…全く……」

思わず愚痴を零して布団に入る、結局のところ高杉を逃がしてしまった、夕方の決断は何だったのか‥そう考えただけで疲れが倍増しそう。


「私も疲れました…」

総司も布団の中で大の字になっている…
そのまま疲れで二人共熟睡に入ってしまった・・・








朝ー


疲れで完全に熟睡していた二人、瑠衣は昼近くにやっと目が覚めた。


「うーん……」

瑠衣はゆっくりと目を開け、昨日が非番で良かったとつい実感してしまう…
でなければ朝から巡察だったからだ。


兎に角、一番に昨日の痣を消さないと何も出来ない。


「はぁーー」

目を瞑り力を集中させると…
胸と首か微かに光り、痣は綺麗に消えていった。


「はぁ…
此で良し」

力である程度体力も回復したので、後は問題無く動けるだろう。

今日は確か夜巡察な筈、逸れまでには完全に普通に戻っていると思う。


「目‥覚めました?」

隣の布団から、先に起きていたらしい総司の声が掛かる…

「はい、体力も回復しましたから、今日の隊務に支障はありません」

「うーん…
でしたら起きて昼餉にでもしましょうか?」

「そうですね」



やっと悪夢の夜が終わり、何時もの日常がやって来る・・・




普通……


意外と此が一番であると、瑠衣はしみじみ思った・・・・・
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