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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第28章 "謎"


報告書だけでは肝心な所は分からない…

安倍家に捜索の手を入れるだけでも、相当な苦労で、始祖安倍清明が施した結界や術が僅かだが、今でも残っている。


「自分では無理だしなぁー
後何か無いか…」

畳に寝転がり、色々と頭を働かす瑠衣だが…

御所と安倍家に関しては、当代様に任せるしか手は無い。

それと幽霊事件はどうなった?

それに関しての報告は無かった、まだ捜索中か、本当にただの噂だったのか…微妙……

予定の八ヶ所に術石は無い…

ならばどんな結界陣なんだ?

ただ振り回されているようにも感じる…
根本的なところで、自分はやはり間違っているのではないか??

出ない答えに苛つきながら、開けっ放しの障子から外を眺めた……

桜が蕾を付けて、大輪の咲く時を今か今かと待っているこの時期。

秋に此処‥新撰組に来て、もう半年が経とうとしている。


(案外月日って早いな…)


総司との新撰組との生活は楽しくて、一日が早く感じてしまう。

何時までも居たくなるような……


(何考えてんだ…)


出来もしない思いを考えてもしょうがない…

自分には帰らなければならない場所がある、それに此処は自分が本来居るべき時代では無い。


(・・・けど…総司は…)


総司の事を考えると心が辛いと訴える…


離れるのが辛い

一人にさせるのが辛い

愛する者を失うのが辛い


覚悟は決めた筈なのに、総司を失うのが辛く苦しく悲しい。


何時かは来る別れ…

自分はそれに耐えられるのだろうか……
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