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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第28章 "謎"


穏やかな表情で眠る瑠衣を見て、総司の頬もつい緩んでしまう。


(本当に…
手放したく無いのですよ……
私の唯一の心の支えなのですから)


そっと瑠衣の額に口付けを落とす、大切な者を扱う仕草は優しく…触れるか触れないか…起こしたくは無いので、総司も無理な事は絶対にしない。


「う…ん……」

瑠衣が、くすぐったそうに寝返りを打つ…
その仕草がまた可愛くて、総司の笑顔は止まらない。


(本当に私は瑠衣には弱いですねぇ)


剣豪沖田総司も、自分が愛する瑠衣には適わない…

新撰組最強の惚気話である・・・・・







「うーん…
あれ…総司??」

夕刻、瑠衣はやっと目が覚めた、隣には総司が微笑みながら座っている。


「クスッ、ぐっすり寝てましたね」

「起こしてくれても良かったのに…
あー自分考え事しながら眠ってしまったんですね」

体を起こして、少し固くなっていた首を振る。


「何を考えていたのですか?」

「あぁ…
当代様から先日の御所の件の報告が上がって来たんです、それでそれを見ながら考えていたら、ついウトウトと…」

「報告?
書式ですか?」

「はい、見ますか?
総司寝ちゃいますよ??」

瑠衣は文机の上から報告書を手に取る、確かに分厚い………


「一応目を通します…
途中で寝るかも………」

瑠衣から報告書を受け取り、数枚捲る…
何時の間にか、寝るどころか真剣に読み出し始めた。


報告書には宋永輪の事の他に祠の詳細、他の封印の位置、今の安倍家の内情など、決して新撰組では得られない情報ばかり書かれている。


「はぁー
土方さんに見せたら何て言うのでしょうねぇ」

あまりの詳細な情報に総司も驚きを隠せない。


「別に構いませんよ?
見られても構いから書式形式で回って来たのでしょうし、副長ならば自分と違う見方をするかも知れませんので」


「はぁー!?
良いのですかぁー!?」

自分の言葉に、総司の目が丸くなっているんですが……


「…総司…
其処まで驚かなくても………」

瑠衣は思いっきり渋い顔…
其処まで変な事を言った覚えは無いのだが・・・・・
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