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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第28章 "謎"
「意外に簡単に言うんだな…
それでこの分厚い報告書か」
「はい、御所内に入った時に朱雀様にお願いしていましたので‥
あれからふた月ですよ、遅いくらいです」
「おぃ…
良いのかよ、朱雀様にその暴言は・・・」
「良いんですよ、正式な場ならば兎も角、普段は向こうもかなり口は悪いです!
それに、そんな付き合い程度でしたら、とっくの昔に切れてますね」
土方は二人に一体どんな繋がりが有るのか…
かなり疑問に思う。
「まぁ…
あちらが良いなら問題は無いが…
それで外法は安倍家でも使うのか?」
それには瑠衣は首を横に振る。
「前にも話ましたが、外法は決して表には出てはいけない術、安倍家が知る訳がありません」
「ならば、宋永輪個人が外法を使うかも知れねぇと言いたいのか?」
「はい、引っかかっりはあるんですよ…
御所内の祠、それと永輪の失踪……
繋がりがあると自分は思いますが、確証はありません」
祠が雷に打たれて二日後に失踪している、そこが引っかかっりの原因か…
「この報告書には何かの封印の場所に、その雷に打たれた祠も入っているな?」
「はい、それは外法の正式な封印の場所です、本当は部外秘なんです」
瑠衣はあっさり言うが、部外秘…
つまり漏らせば命も危ない、土方は今更ながら背中に冷たいものを感じながら話を続ける。
「壊れたという事は、中にあったものも無くなったという事か…
それで宋永輪を調べていると…」
「その通りです、封印は破壊されていますし、中の物もありませんでした…
自然に宋永輪に目を向けても、おかしくは無いかと思います」
此処に来て土方も暫く考える…
「例え‥宋永輪がその外法を持ち出したとして、何故四年もの間、何も音沙汰が無かった?
俺としては、其処に引っかかっりを覚えるな…」
四年‥短いようで長い期間…
その間、永輪は何をしていた?
永輪が持ち出したとして考えれば、まず外法を読み解く事から始めなければならない、しかも外法の書二つでは断片的な情報しか無い筈だ。
それを術として構築するだけでも、かなりの年月が掛かる‥か……
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