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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第28章 "謎"


「瑠衣が其処まで言うならば、安全という事ですね」

「どういう意味ですか?」

「そのままの意味ですよ…
瑠衣程の力のある人が、其処まで嫌がるのならば、相当守りは固い…
そうでしょう?」

相変わらず感が良い…


「はぁ…
その通りです、自分でなくても朱雀様でも嫌がりますよあれは……」

「だから話した」

「えぇ…
部外秘何て言いながら本当は誰も手出し出来ませんから…
あっ、部外秘は本当の事ですけど」

「クスッ、こういう時の瑠衣には適いませんからねぇ」

やっと納得した総司はゆっくりと歩き出す、それに合わせて瑠衣も後を追う‥その話を聞いている者が居ると知らずに……





「・・・・・・・」

総司達が部屋を去った後、資料を取りに奥の部屋に来ていた土方だが‥

その壁の向こう側で、総司と橘の話し声が聞こえる。


"だから話した"

"えぇ…
部外秘何て………"


壁の向こう側の話を、一部始終を聞いていた土方だったが、疑問も沢山生まれる。


(橘程の力??
確かに朱雀様と同格くらいの剣技の持ち主だが、力とは?)


陰陽道を使用するのは前に本人から聞いたが、それ以上に何かあるのか?

話の筋では、まるで朱雀様と同じ事が出来る口ぶりだった。

それに…
此方に話したのも確信犯。


(全く何処まで頭が良いんだか…)


此では何かあっても橘を糾弾出来ない、自分も知っているのだから…
それにあれは朱雀様から来た正式な報告書、部外秘なのは事実だろう。

迂闊に此方から手を出す事も出来ない。


(何をやらかそうとしているが知らないが、俺への牽制か…
やってくれるぜ)


結局、土方は瑠衣の策に引っかかった訳で…


(毒食らわば皿までってか…)


こうなれば一口乗ってやろうと思う・・・





普通ならば、土方の気配に気づくであろう瑠衣が、全く気付かずに話してしまった。

此には少々理由があり、瑠衣は土方の気配を読み難い、だから見逃してしまい気づけなかった。

その事実に瑠衣は気付いて無い…
気付けないものは、仕方がない事だってある。


夜も遅いので、総司と二人、勝手所への寄り道も無く素直に自室に戻った・・・
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