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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"
青白い刀身は煌めき総司の顔を写し出している。
「不思議な感じですね、まるで吸い込まれそう‥そう表現したほうが良いのでしょうか…
けど、何故か落ち着く感じがします」
総司は刀身の文字を見たり(分かる訳は無いが)、鍔に近い所にある宝石を触ったりしている。
(…やはり刀に魅入られる事は無いか‥流石天才剣士沖田総司と言うことか…)
最悪の場合、刀の力に魅入られて暴走するのではと瑠衣は危惧していた
だが、見た感じ刀は総司を受け入れているように見える。
(これなら大丈夫、実戦でも力を発揮してくれる)
この御神刀が多分に総司を守ってくれるだろう…
瑠衣は逆に総司の脇差しを引き抜いた。
「一点の曇りも無い・・・」
どれだけ手入れをしているかが伺える
脇差しだが大刀の長さに限りなく近い、無駄な装飾は無く実用一点張りなのが良く分かる
何処までも武士であり剣一筋なのが脇差しだけで分かってしまう。
「気に入りました?」
にこやかに総司は言う。
「自分には勿体無い位です」
素直な本音…
瑠衣は言葉を飾る事なく、そう一言もらす。
「そんな事ないですよぉ、橘さんの脇差しだってかなりの業物ですよ、こんな脇差しは見た事はありません」
そう言うと総司は脇差しを鞘に納めた。
「多分ですが…
その脇差しは御神刀だと思います、何処の物か何の為かなんかは勿論分かりませんが…」
総司は驚き、もう一度手に持っている脇差しをまじまじと見つめてみる。
瑠衣は総司の脇差しを静かに鞘に納めた。
「良いのですか?
御神刀と分かっているのなら橘さんが所持していた方が…」
「いえ、自分にはこの大刀で十分です」
「と言う事は、その大刀も何か曰く付きなのですか?」
相変わらず鋭いと瑠衣は思う、一言でどれだけの事が見えているのか・・・・・
「似たようなものです」
とりあえず即答は避け一言で終わらせた。
「・・・・・
そうですか…」
感は良いが言いたくない事には首を突っ込んでは来ない、ちゃんと状況を把握している。
(流石一番隊隊長という所か…)
瑠衣はただ総司の判断に感心するしか無かった。
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