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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"


次の日の夜-


今日は瑠衣にとっては初の巡察となる…
浅葱のダンダラに身を包み、朱桜刀と総司の脇差しを腰に差し外へと飛び出した。


屯所門前には既に総司と数人の平隊士、それと土方が居る。


「遅れて申し訳ありません」

少々小走りに集まっているみんなに近づく…

「いえ、まだ集合時間前ですから大丈夫ですよぉ、皆さん誰かさんが居るお陰で早く来すぎたのですから」

総司はちらっと土方の顔を見て笑っている
…何となく嫌な予感がする。

「俺のせいだと言いてぇのか総司、勝手に集まるのはコイつらの自由だ!!」

相変わらず眉間にシワを寄せて平隊士を睨む土方…
土方に気を使い、早く集まった平隊士が可哀想である。

「私は土方さんとは言ってませんよー」

「うるせぇ」

「自分が認める発言をしたのにー」

「総司!!」

鬼の土方も総司にかかったら形無しである。

「あ…ははは…」

もうぎこちない笑いしか出来ない、流石にこの中に入る勇気は自分には無い。


「橘、似合ってるな
それなら一端の男に見えるぜ」

土方は瑠衣を見ニヤニヤ笑う、では今までどう見ていたのだ?
…と考える前に分かってしまう。


(餓鬼だとか、女だとか、しつこいんだよっ!!)


昨日から散々からかわれている瑠衣にとっては至極面白くない。

「副長、餓鬼餓鬼って、自分は十九になります
決して餓鬼ではありません!!」

瑠衣の年齢発言に土方、総司、平隊士までも目を丸くして一応にこっちを凝視してる。


(自分何か変な事言ったか??)


怪訝な表情で周りを見渡す‥が…

「・・・俺ぁ十五ぐらいだと思ってたぜ・・・」

「私も十五~六かと・・・」

総司と土方の言葉にうんうんと頷く平隊士達。

「・・・・・・・・・」

土方達の言葉に瑠衣は完全に不機嫌丸出しの顔である。


(童顔って言いたいのかっ!!実年齢はもっと上だっ!!)


今の借りの瑠衣の姿は十九で年齢が止まっている…
朱雀としては本当の所二十~四十の間ぐらいの年齢"神"の性質なのか、あまり成長しない。

"神" としての自分は、大体千年近い寿命がある、成長速度が限りなく遅いのは理解しているし、成人になればほぼ成長は止まってしまう、姿変えを使うと若干実年齢より若くなるのも承知…だからって餓鬼扱いは御免だ。

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