この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"
次の日の夜-
今日は瑠衣にとっては初の巡察となる…
浅葱のダンダラに身を包み、朱桜刀と総司の脇差しを腰に差し外へと飛び出した。
屯所門前には既に総司と数人の平隊士、それと土方が居る。
「遅れて申し訳ありません」
少々小走りに集まっているみんなに近づく…
「いえ、まだ集合時間前ですから大丈夫ですよぉ、皆さん誰かさんが居るお陰で早く来すぎたのですから」
総司はちらっと土方の顔を見て笑っている
…何となく嫌な予感がする。
「俺のせいだと言いてぇのか総司、勝手に集まるのはコイつらの自由だ!!」
相変わらず眉間にシワを寄せて平隊士を睨む土方…
土方に気を使い、早く集まった平隊士が可哀想である。
「私は土方さんとは言ってませんよー」
「うるせぇ」
「自分が認める発言をしたのにー」
「総司!!」
鬼の土方も総司にかかったら形無しである。
「あ…ははは…」
もうぎこちない笑いしか出来ない、流石にこの中に入る勇気は自分には無い。
「橘、似合ってるな
それなら一端の男に見えるぜ」
土方は瑠衣を見ニヤニヤ笑う、では今までどう見ていたのだ?
…と考える前に分かってしまう。
(餓鬼だとか、女だとか、しつこいんだよっ!!)
昨日から散々からかわれている瑠衣にとっては至極面白くない。
「副長、餓鬼餓鬼って、自分は十九になります
決して餓鬼ではありません!!」
瑠衣の年齢発言に土方、総司、平隊士までも目を丸くして一応にこっちを凝視してる。
(自分何か変な事言ったか??)
怪訝な表情で周りを見渡す‥が…
「・・・俺ぁ十五ぐらいだと思ってたぜ・・・」
「私も十五~六かと・・・」
総司と土方の言葉にうんうんと頷く平隊士達。
「・・・・・・・・・」
土方達の言葉に瑠衣は完全に不機嫌丸出しの顔である。
(童顔って言いたいのかっ!!実年齢はもっと上だっ!!)
今の借りの瑠衣の姿は十九で年齢が止まっている…
朱雀としては本当の所二十~四十の間ぐらいの年齢"神"の性質なのか、あまり成長しない。
"神" としての自分は、大体千年近い寿命がある、成長速度が限りなく遅いのは理解しているし、成人になればほぼ成長は止まってしまう、姿変えを使うと若干実年齢より若くなるのも承知…だからって餓鬼扱いは御免だ。
・