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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第28章 "謎"


「んんっ…総司…もっ…と…んぁ…」

その言葉に総司の口付けが激しさを増す。

「はぁ…はぁ…えぇ…んっ…瑠衣が…求めるのならば…はぁ…幾ら…でも…」

何処までも一つになろうと、互いの口付けは貪欲に激しく深くなっていく…


「はぁ…はぁ…はぁ…」

瑠衣は息苦しさが限界で唇を離し、そしてそのまま総司に抱き付く。


「はぁ…はぁ…瑠衣…はぁ…」

総司の方も限界で、瑠衣を受け止め抱き締めている。

春先の夜まだ夜は寒く、お互いの温もりが丁度良い。


「はぁ…はぁ…もう少しこうしていたいです」

「えぇ…
瑠衣がそう望むのならば…」

無理強いはしたくない、だから瑠衣の望むままに任せる。

夜はまだ長いのだ…
そんなに急いても仕方がない……

総司の温もりが暖かくて、自分が此処に居ると実感出来て、何より安心出来る唯一の場所。

行為を途中で止めたのに、少し後ろめたさがあるが、自分は自分と確立させたい。


「…総司…辛いよね…」

総司の胸の中で呟く。


「瑠衣の好きにして良いのですよ、夜はまだ長いのですから…」

「…うん、ありがとう…」

総司が欲しい…
その気持ちは多分同じ、ただ急に事を進めるのでは無く、互いの心も繋がりたい…
瑠衣はそう思う。


「…総司……
もし…もし…私が居なくなり…総司も皆も誰も私を覚えいない…そうなったら…どうしますか??」

本当は一番聞きたく無い事…

自分がこの時代から去る時、自分に関わった人間の記憶を消すか封印しなければならない。


「・・・
それでも私は瑠衣を探すのでしょうね…
例え記憶が無くとも、心は覚えていると思います」

予想外の言葉に、つい涙が出そうになる。


「心が…覚えている…」

「えぇ…
どんなに離れていても…例え記憶が無くても……
私の心まで変えられますか?」

瑠衣は首を横に振る。

「変えられ無い…
そう思います」

記憶を消せば、封印すれば、それで終わりだと思っていた。

けど人には心がある、幾ら自分でも、奥底にある心は変えられない。
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