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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第28章 "謎"
ゆっくりと鏡の後ろを覗くと、其処には丸い石が一つ安置されている、多分これが御神体。
その中心に書かれている一つの形…!!
「六方星!!!!!!」
自分は何故忘れていた!?
三角形を上下に合わせた星型の陣形…
陰陽師の代表的術式なのに!!
「…それに……」
この御神体は封印‥外法の封印の一つだ!!
だからこそのあの仕掛け…
勿論、祭壇にも仕掛けがある。
今、自分は敵意を持って御神体に接している訳では無いので、仕掛けも術も発動しない…
だが、神社自体の結界や術は自然に働いていて、気配読みを出来なかったのもその一つ。
「朝からとんだ当たりを引いたな…」
「何が当たりなんじゃ?」
何時の間にか、神主様が本殿に現れて此方を見ている。
あまり不振な行動は不味いと思い、瑠衣はとりあえず祭壇を離れた・・・
「この神社は歴史が古くてのう、平安の世から今に伝わっておる…
その御神体も、その頃から安置されているらしいの」
人の良い笑顔を浮かべながら神主様は話す。
「不思議な話での…
その御神体は動かす事が出来ん、大の男が数人掛かりで持ち上げようとしたが、全く動かなかったという伝説が残っている…」
「・・・・・・・・」
何も語らずに、ただ神主様の話を聞く…
「建物も少々変わっておるじゃろう…
昔からの習わしでな、左右非対称になっとる」
確かにおかしいとは思った…
普通神社は本殿入り口から左右対称に作られている…
だが、この神社は向かって右側が少し足りない。
「面白いじゃろうて…
さて、お前さんは何者かの??」
「…何者と言われましても…
本当に通りすがりなんですが……」
本殿の中で静かな攻防の図が出来上がる。
此処で殺気など出したら、仕掛けの術が発動してしまうだろう…
だが、本当の事も話せない‥どうしたものやら・・・
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