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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第28章 "謎"



(当たればかなり進展する…
全て破壊するには、それなりに時間は掛かるが、場所さえ分かってしまったら此方のものだ)


今書いた紙を全て箪笥の奥にしまい込み、何食わぬ顔で胴着に着替えて道場に出る。

今日の師範担当は自分、やらなければならない事は滞りなくこなす・・・・・







夕方ー


何時も通りに巡察に出た一番隊なのだが……


「・・・・・」

今日の瑠衣は何処か上の空で、何かを考えながら歩いているように見える。


「……
橘さん、何だか朝から変ですよ?」

「えっ!?
そ……
先生、気のせいですよ、ちゃんと昼間に稽古師範もしていますし、自分は普通ですが?」

そんな瑠衣を総司は注意深く見る。

大体にして、人前で総司と言おうとした事自体、間違いなく変だ…
普段ならば、そんな間違いなぞあり得ない。

朝、神社の本殿に入ってから、瑠衣の様子があらかさまにおかしいのには気付いてはいたが、此処まで来ると不安要素の方が大くなってゆく。


(………
何を隠しているのですか??)


総司の心とは裏腹に、上の空の瑠衣はボーっと順路を歩く……





街中も中ほどまで歩いた頃に、瑠衣は急に総司に話し出した。


「…先生……
少し先に行っていて貰えますか?
自分は少々気になる事があります」

「一人‥ですか??」

「平隊士の皆さんを置いて行く訳にはいきませんので、それに直ぐ合流します」

「・・・
分かりました」

瑠衣は一礼して、一人裏路地へと入って行った。


「・・・・・・
行きますよ」

総司の不安を抱えつつも、巡察を続ける為に歩き出す一番隊………






「…この辺りだな……」

慎重に裏路地の道を歩く瑠衣、暗くなって来たにも関わらず、灯りも持たずに気配だけで目的の物を探す。

暫く歩くと、独特の負の気を痛いほど感じる場所がある、結界に触れないように辺りを調べ出した。


「………あった…」

其処には黒の結界石が仕掛けられている。


やっと手掛かりを掴んだ!!


瑠衣はそう確信して、術石の前でニヤリと笑った・・・・・
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