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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"
「とにかく、全員揃ったんなら行くぞっ」
そう言い街へと歩き出す土方。
「あー皆さん行きますよぉ」
総司も土方を追って歩き出す。
(・・・大丈夫なのか・・人の事を餓鬼うんぬんと言う以前の問題では…)
溜め息をつきつつ、土方、総司の後を歩き出す瑠衣…
その後ろを平隊士達が続く。
夜・京の街ー
昼間あれだけの人が行き交う大通りだが、今は人一人歩いて居ない。
店々は堅く戸締まりをし、風に巻かれた土埃が自分達の行く手を遮る。
そんな中、気配を探りつつ歩き続ける新撰組隊士達…
もっとも気配を探りながら歩いているのは土方、総司、瑠衣の三人が主力なのだが…。
「沖田先生、"鬼"は何時現れるんですか??」
何となく、素朴な疑問として聞いてみたくなった。
「んー予測出来ないんですよ…
行き当たりばったりですかねぇー」
瑠衣の質問に困ったように頬を掻く総司。
「…い…行き当たりって…」
(何も対策はないのかっ!!)
では、今まで出合ったら心の臓も解らす、心の蔵に当たるまでめった切り!?
(当代様辺りが何が入れ知恵してると思っていたが…)
何もしてない!?
新撰組は捨て駒!?!?
いや違う、今まで何とかなっていると言う事は、そうでは無い気がする。
実際"鬼"との乱闘で死者は出てないと聞く。
(新撰組存続の口実か?)
後ろ盾が弱い新撰組、朱雀一族が後ろにつけば、こんな大きい事は無い。
"鬼"の始末なら朱雀の武将達を使った方が遥に効率が良い、まぁ武将共も簡単には表に出れないだろうが。
そんな事を考え歩いていると、ふと嫌な気配が大通りから少し離れた所に三つある…。
「橘さん…」
総司達も気づいているのか、さっきのふざけた気配は微塵も感じない。
「理解しています」
此方も同意の言葉を総司に返す。
「初めてですから無理はしないで下さい」
「…了解しました…」
「お前たちはここで待機してろ、総司、橘行くぞっ」
平隊士を待機させ、総司と瑠衣を連れ大通りから外れる土方達。
(自分を試すつもりか)
土方自ら出張って来たのは恐らく自分の力量を試すのが目的だろうと始めから気づいている。
(試されてやろうか…)
その為の準備はした、土方の分なぞ知らん。
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