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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第29章 "策"



 「坂本竜馬……」


今はまだ亀山社中として、外国と貿易をしている筈、あの人物ならば接触しても問題はないだろう。

確か京の外れ寺田屋…
そこを隠れ家にして活動をしている頃。

流石に今日明日とはいかないが、近いうちに会ってみようと思う。


「そうと決まれば仕事仕事」

考え事で、ほぼ放置していた書類に手を伸ばす、総司じゃ無いので逃げる気は無いが、遅れた分夕方までたっぷり時間が掛かった……





書類と報告書を土方に上げ、問題も仕事も片付けた瑠衣は、のんびりと夕餉を食べていると…


「橘さん、あまり呑気に食べてると左之におかず取られますよぉ」

隣の総司は瑠衣にそう声を掛けつつも、此処数日の苛々が抜けているのに気づいた。


(何か思い付いたのでしょうねぇ)


「ご心配無く先生、返り討ちにしますから」

「ぁはは…
返り討ち‥ですか………」

こういう時の瑠衣は有言実行…

実際、おかずを取ろうとした原田に箸を突き刺した・・・




「瑠衣ー!
やり過ぎですよぉ」

「何がですか?」

自室に戻った後、先程の返り討ちを目の当たりにしてしまった総司は、瑠衣にさり気なく忠告してみるのだが…


「左之ですよ…
やり過ぎでしょうあれは・・・」

「人のおかずに手を出した左之が悪いですっ!」

「だからといって、普通箸を刺しますかぁー!?」

「手加減しましたが?
実際の傷は少々でしたよね」

言っても無駄‥総司はガックリとうなだれる。


「問題はそこでは無い気もしますが・・・・・」

「牽制ですよ、左之も次はしないでしょう」

しれっと言ってのけて、後の話は聞かない事にする気満々……



「総司、近い内に坂本竜馬に会ってみようと思います」

「はぁぁー!?」

総司は突然の瑠衣の言葉に付いていけない。


「欲しい物があるんです、外国にしか無い物を…
それで取引を持ち掛けてみようと思います」

「大丈夫ですかねー?」

「人間性は問題ないと思いますよ、中立な人間ですしね」

「・・・
それならば良いのですが……」

相変わらず、瑠衣の考える事は常人には理解し難い…

どこでそうなるのやら・・・・・
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