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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第29章 "策"
「それ以外にも必要な物がありますが…
それは屯所内でどうにかなります」
「…はぁ……
何か‥また変な事に巻き込まれそうな気がしますねぇ」
「変な事‥総司っ!!」
「はいはい…
瑠衣の自由ですよ」
「全くー」
そこまで言われるとは…
瑠衣は総司に背中を向けて座った。
「そんなに拗ねないで下さいよぉ…」
「別に拗ねてません」
「拗ねてますよぉ」
そう言って、総司は後ろから瑠衣を柔らかく抱き締める…
「な…
総司………?」
「心配‥なのです」
そんな言葉を言われたら、自分には反論のしようが無い。
「…ごめん……」
「分かって下されば良いのですよ」
「うん……」
背中の温もりを感じながら、瑠衣は素直に頷いた・・・
夜も寝静まって、暫くした頃………
「山崎さん…」
山崎の部屋の天井から、微かな声が聞こえる。
「誰や!?」
布団の中で苦無を持ち、相手を見極めようとするが……
気配の無い天井裏の住人は、簡単にひょこっと顔を出し姿を現した。
「嫌ですよ、その手の苦無を投げないで下さいね」
「なぁー!?
橘ぁぁー!?!?
何しとんのや!?」
ニッコリ笑い天井裏から降りる瑠衣、それを見て驚き半分の山崎も布団から起きて手の苦無を下ろした。
「こない時間にどないした?」
「少々相談があって‥まぁ時を見計らっていたら、夜中になったんですが…」
こんな時間に現れて相談事とは、余り良い話しでは無さそうな予感……
山崎はとりあえず灯りを点けて、布団の側に座った。
それを見て、瑠衣も壁際に腰を下ろす。
「で、なんや??」
「えーと…
欲しい物と貸して欲しい物がありまして……」
言い難そうに頬をポリポリ掻いている…
仕草まで似て来たのは気のせいか??
「欲しい物と貸して欲しい物…?」
訝しげに瑠衣を見る山崎、自分に相談するならば医療か忍……
「欲しい物は此方に…」
瑠衣は一枚の紙を山崎に手渡した。
受け取った山崎は、内容を見て少々渋い顔をしてしまう。
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