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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第29章 "策"
「……
一体何に使うんや?
薬だが、何の脈絡も無いようにも見える??」
薬の材料になる草や木の枝、今出回っている調合された物まで、かなり細かく指定して来てるのだが、これらを集めても何にも出来ない…
山崎はそう思う。
「今は脈絡が無いですね、それに後二種類足りませんし、全て揃っても何になるか分からないでしょう?」
「確かになぁ…
訳分からん」
どんな調合で何の薬が出来るか、全く想像付かない。
向こうは分かってて指定しているとは思うが・・・
「申し訳無いと思いますが、何になるかは教える気はありません、多分‥教えても分からないだろうと」
瑠衣の本音である…
自白剤自体、今の時代には無い物、あの薬が出来るのはもっと後の世界‥だから山崎に教える訳にはいかない。
「なんや今回は訳ありやな」
「えぇ…
組とは関係無い話ですね…
出来たら他言無用で」
「はぁー
で、借りたい物はなんや?」
「仕込み針と苦無、忍服一式に出来たら手裏剣と煙り玉も」
随分と物騒な借り物……
「忍でもやるんかい…」
「出来ない事はありませんよ、現に屋根走りは得意ですし」
「それだけで忍が出来るんかいっ!
そやな‥わいと手合わせして勝ったら全て用意しちゃる…
どや??」
「承知」
ニッコリ笑い瑠衣は山崎の条件に同意する、山崎に負けるようでは忍道具を借りる意味すら無い‥とは言えないが……
とりあえず今は武器だけ借りて、山崎とよく総司と稽古している広場に向かった・・・
「武器見て分かる思うけど、真剣勝負やで?」
「勿論分かってますよ」
二人は間合いを取る…
瑠衣は大刀は置いて、総司の脇差し一本を腰の後ろに差していて、本気でやる気満々。
「はぁ…
知らんで……」
山崎は諦め境地で苦無を構えた。
瑠衣も苦無を一本取り出し逆手で構え、山崎を見据えている。
「・・・行くで!!」
その瞬間お互いが走り出した!
『キンッ…ガキッ…』
広い空き地に苦無の交わる音が響く…
「・・・」
山崎は懐から手裏剣を取り出し、瑠衣の進行方向を読み投げる!
『ドスッ‥ドスッ‥ドスッ‥』
瑠衣はギリギリで宙返りして避け、地に足が付く前に苦無を一本山崎に向けて投げた!!