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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"
平屋の屋根の上に三体の"鬼"の姿。
自分達より遥に背が高く獣のような瞳、有り得ない骨の向きをしたり、腕が三本だったり四本だったり、ボロボロの衣に身を包む奴、裸のままの奴、とても人とはあまり違い過ぎるその出で立ち。
(低級か…)
たいした知能も無く本能のままに行動し、人間を襲っているのだろう…
上級ともなれば、人間以上の容姿を持ち高い知能を持つ奴も居る(瑠璃は上級の部類に入る)
「はんっ、此奴が"鬼"かぁ」
屋根の上を見ニヤリと笑う土方、その姿には隙は無い。
「鬼が居ると"鬼" は出て来ないですからねー」
「なんだとっ!!」
「そのままの意味ですよ土方さん、」
総司は軽口を叩きながらも刀引き抜く
何も考えて無いのか馬鹿なのか、呆れつつ瑠衣も抜刀する。
「来ますよ…」
総司の目が真剣なものに変わる、その姿には全く隙が無い…
"鬼"達は屋根の上から自分達を見据え、獲物とばかりに襲いかかって来た!!
「ちっ!!」
一番前に居る土方は、その長い爪を振り下ろす"鬼"を避けつつ腹に深々と一撃を入れる。
「やっぱり効かねーか…」
切られている筈なのに動きが鈍らない"鬼"…
一度"鬼"から離れた土方も流石に嫌な顔をしている。
そんな中、一番奥に居た瑠衣が刀を構え急に飛び出した!!
「「お(あっ)いっ!!」」
焦る土方と総司!!
二人から見れば、闇雲に飛び出したとしか思えない行動で…
だが…!!
瑠衣は素早く間合いを詰め一匹の"鬼"の左肩の少し下辺りに突きを一撃!!
『ギ…ギャァァァ…!! 』
"鬼"の姿が薄れ灰になって行く…
残るは小さな透明の水晶のような石‥
これが"鬼"の力の源、死んだ"鬼"が最後に残す形のようなモノである。
「「・・・・・・・」」
それを呆然と見据える土方と総司…
一撃で倒れた"鬼"は今まで居ない…
それを瑠衣はやってのけたのだ!!
「沖田先生!!」
前方にいる瑠衣は総司の名を叫ぶ…
後ろを振り返る余裕なぞ無い、まだ二体"鬼"が居るのだから…
「昨日の脇差しです!!
それに触れて、"鬼"の体全体を集中して見て下さい!!
そうすれば何処かに黒い澱みのようなモノが見えるはずですっ!!
それが"鬼"の心の臓ですっ!!」
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