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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第29章 "策"
「わしはそういうのは、どちらでもよか…
じゃが、これはわしの知らんものじゃきに、自分で交渉しちゃくれんかのぅ」
「はぁ…
何とか頑張ります……」
「そうと決まれば善は急げじゃ!」
坂本は立ち上がり、瑠衣を引っ張り部屋から出て下に降りたと思ったら…
「お龍ー
馬借りるぜよー!!」
そのまま納屋に行き、馬二頭を連れて来た、何というか‥行動が早過ぎる。
「乗れるじゃろな?」
「勿論」
坂本と瑠衣は馬に跨り、海を目指して馬を走らせ始めた・・・・・
一応、此処も京の内なのだが、広い海を見るのは久々である。
外国船が多数止まっている港…
その内の一隻の前で坂本は馬を止めた。
「これはエゲレスの船じゃき‥いや、船でサニエル殿が乗っている」
馬を下り桟橋を渡る坂本と瑠衣…
水兵達は坂本を見知っており、簡単に中に通してくれる。
船の中に入りドンドンと奥へと進んでいく坂本、瑠衣の方は、はぐれないように坂本の後追う。
通路の一番奥まで来て、坂本はやっと止まった。
"コンコン"
ドアを叩き中に入る、何だかこう幕末に来て以来だから、ノックなんて久々の光景だ・・・
『坂本殿?
どうなされた??』
サニエルと呼ばれたイギリス紳士が、坂本に英語で話し掛けて来る。
『あ…紹介…この者…』
対して坂本の語学力は片言と来た、予想より語学力は‥低いらしい……
瑠衣は仕方がないと溜め息を付き、サニエルと向かい合う。
『初めましてサニエル殿、坂本殿から紹介されました、橘と申します
本日はそちらにしか手に入らない薬草が欲しくて、交渉に上がりました』
坂本も驚く流暢な英語でサニエルに話す瑠衣…
一応、語学力は確かで、かなりの国の言葉を話せたりするのは内緒。
『ほほぅ…
橘殿ですか、初めまして、サニエルです』
手を差し出されて、瑠衣はにこやかに握手を交わす。
『坂本殿より此方のしきたりに詳しいと見える』
『そんな事はありません、興味本位の聞きかじり程度です』
サニエルは瑠衣達に椅子に座るよう促す…
それに従い、瑠衣と坂本は椅子に座った。
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