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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第29章 "策"
そっと自室の扉を開けて見ると、疲れ果てて眠る橘の姿がある。
(今日一日駆けずり回っていたようだしなぁー
疲れ出たんやな…)
山崎はそっと瑠衣に近付いた瞬間!
『チャリ…』
「!!!!!」
近付いた瞬間に瑠衣が動く!
素早く山崎を捕まえ、その首に脇差しを引き抜きあてがう……
刃が首に掛かり、生唾一つ飲めない緊張感・・・
「・・・・・あれ?
山崎さん、帰って来てたんですか?」
はぁ??
寝ぼけ眼でこちらを見ている?
「た‥橘…
脇差し下ろしてぇな…」
「??
脇差し???」
自分の手を見ると、脇差しを山崎の喉元にあてがっている‥らしい…
瑠衣は慌てて脇差しを引いた………
「あー
すみません…
条件反射でつい……」
お陰で眠気は覚めたけど…
他人が間合いに入って来ると、どうしても反射的に攻撃体制を取ってしまう
もう‥完全に癖としか言いようがない。
「怖い条件反射やな…」
背筋が凍る思いで橘を見ると、すまなそうな顔をして此方を見ている。
「もう癖ですから…
なかなか抜けませんね」
「沖田はんも可哀想に…」
「は??
えーそれは無いです…」
不思議な事に総司だけには、この条件反射は働かない。
「やっぱり沖田はんは特別なんやな…」
自分では適わない…
多分一生‥悔しいが認めざる負えない。
「山崎さん??」
「あー!
兎に角後片付けやっ!!」
「ぅわっ!
はいっ!!」
やっぱり眠気を我慢して片付けるんだった…
そう後悔してももう遅い。
その後、道具一式を綺麗に磨いて、やっと山崎から解放され自室に戻って来た。
「はぁー
疲れたぁぁーー」
総司が引いてくれたであろう自分の布団に、着流しそのままでバタッと倒れ込む。
そのまま直ぐに眠りに落ちてしまう。
「・・・
クスッ‥お疲れ様」
瑠衣が部屋に帰って来た気配で目が覚めた総司、瑠衣を起こす訳にもいかないので、上からそっと布団を掛けてあげる。
此処が総司と山崎の違い……
総司には全く警戒心が働かない、それだけ総司と瑠衣の信頼は強い…
暫く瑠衣を見詰めていた総司だったが、今日は大人しく自分の布団で寝る事にした。
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