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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第29章 "策"
「今日の順路は少し変わってますね、何かあったんでしょうか先生?」
「分かりませんが、急に土方さんが変えて来たのです」
何時もは通らない道を進む一番隊巡察組。
「副長の采配ならば何かある筈ですね…
ただ変える訳はありませんから」
「私もそう思います」
監察方からの情報も無いし、何故変更になったのか……
少々理解し難いが、とりあえず順調に進んで行く。
「いたいた…」
ひょっこりと山崎が順路に顔を出した。
こういう時は、良い事が無いと決まっている・・・
「どうたのですか山崎さん…
と、言っても土方さんからですね」
「そや…」
幹部同士の話が始まる、瑠衣は一歩引き、平隊士達を纏める方に徹する、何時もの事だ。
「・・・・・・・・」
「・・・
分かりました」
余り良い予感はしない二人の会話…
それも山崎が直接となると大物狙いか?
話が終わったようなので、総司の元に話しを聞きに行く。
「何かありましたか先生?」
「えぇ…
当たりが一件、この先の廃屋に人斬り以蔵がいるらしいのです
相手が相手なので、平隊士達の皆さんには巡察を続けて貰い、私と橘さん山崎さんで行きます」
岡田以蔵‥坂本さんの……
ふと坂本の顔が頭を過ぎったが隊務は隊務だ、新撰組隊士である以上やるしか無い。
山崎の案内の元、一件の廃屋に差し掛かった。
「・・・
死番は誰がするんや?」
死番…
一番初めに敵に飛び込む、一番危険な役回り。
「それならば自分がしますよ」
ひとこと言って躊躇いも無く刀を抜き、気配を消して廃屋に突っ込む!
『ドカッ!!』
戸板を蹴り破り、辺りの気配を探す。
「!!!!!」
『キ――――ン!!』
死角から以蔵が瑠衣に遅い掛かって来た!
刀を弾き賺さず胴払いを繰り出すが、以蔵は器用に避ける、これはかなり素早さが高い…
逆にその反動を利用し、瑠衣の懐に突っ込んで来る!!
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