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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第29章 "策"


「そうだ…
鬼寄せの香‥必要あるかな??」

一応作っては見た、だが使う事も無いと思い放置したまま…

箪笥の中から、香袋を取り出す、それを匂いが漏れないように手拭いでしっかり塞ぐ。

此も必要になるも知れないのだ。


全てを確認し終わり、足りない物が無い事を見て、瑠衣はニヤリと笑う。


(見てろよ…
倍返しはしてやるよ……)


何事三度、高杉に売られた恨みはきっちり体で返して貰う。

そう思いながら箱を閉めて、昼の巡察に向かった・・・





「はぁ…
こうして見ると誰か分かりませんね」

忍装束に身を包む瑠衣を見て、総司は感心した声を上げる。


「総司……
誰か分かったら意味が無いでしょう・・・」

武器を懐に入れながら、渋い顔で総司を睨む…
だからこその変装なのに………


「まぁ…
それもそうですねぇー」


(もうっ天然っ!!)


瑠衣の腹の内なぞいざ知らず、総司は楽しそうに瑠衣の変装を引っ張ったりしているが……

そんな総司はお構い無しに、瑠衣は大刀に手を掛けた。


「あれ?
刀は置いて行くのでは??」

「万が一もありますから、一応所持しときます」

瑠衣は大刀を一撫でする…
すると刀は光を放ち黒い腕輪に変化した。


「相変わらず便利ですね」

「この刀の特権ですから、持ち主の意のままに姿を変える…
能力の一つですよ」

そのまま腕にはめて、感触を確かめる。


「此ならば大丈夫です、では総司行って来ますね」

「はい…」

瑠衣は天井に登り、部屋から出て行ってしまう。

総司の方は、布団を二組引いて、さも瑠衣が寝てるように見せ掛ける、これも何時もの連携…


「…早く帰って来て下さい」

心配はすれども、やる事無し…
総司は灯りを消して布団に潜った・・・


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