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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第29章 "策"
借りを返すと自分が仕掛けた…
だが、星光を見ていると、一抹の後ろめたさは残ってしまいそうだ……
「…さぁ…楽になったかい?」
星光はニッコリと笑い頷く。
主は宋永輪と見て間違いない、御所・陰陽師‥全てが一本に繋がる。
残るは最終目的が何なのか……
「君の主は何をしたいのかな?」
「…復讐…
京の人間全て…自分を裏切った全てに……
後…術の封印…なかなか解けない…」
復讐…術…多分外法だろう。
一度外法を手にすれば、次々欲しくなる…
それが人間の強欲だ。
「君の主は凄い事をやっているんだね…
私では真似は出来ないよ」
「そう…
主は凄い……
その為に四年の歳月を掛けた…もう少し…もう少しで成就する…」
もう少し…復讐の事か?
しかし崩れた結界陣で何が出来る??
此からも結界陣は崩れていく…
それでも出来る復讐??
「ねぇ星光…
君の主はどうやって復讐するつもりかな?
陰陽師だから簡単に出来るのかな?」
「・・・・・雷・・・・」
雷!?
雷を使うのか?
確かに外法を封印していた祠は雷で破壊された…
宋永輪は雷を操れる??
星光は雷とひとこと、それ以上の情報は知らないのか??
だとしたら、これ以上星光に口を割らせても多分もう同じ事…
現に星光は麻薬の力で、もう半分以上意識が無い。
(すまないな……)
「星光…
全て楽にしてあげるよ…」
瑠衣は忍刀を引き抜く…
星光は分からないという顔で、瑠衣を見ているだけ………
「さよならだっ!!」
『ドスッ!!』
正確に心の蔵を一突き、苦しまないように、一撃で星光の急所を貫いた!
「・・・・あっ・・・・」
その言葉と共に、星光の体は力無く崩れて落ちてゆく…
「・・・
悲しい人生だな…」
血を払い、忍刀をしまうが良い気分にもなれない。
瞳の開いたままの星光、そっとその瞳を閉じてやる……
(此で円月輪の使い手は居なくなった…
後は黒幕…宋永輪のみ!!)
暫く死んだ星光を見ていた瑠衣だったが、思いを振り切るように屋根の上へと飛んだ・・・
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