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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第30章 "桜"


主人は少し奥を指差している。


「ありがとうございます」

瑠衣は買ったばかりの紅を開け、そっと唇に乗せてみた…
思った通り優しい色‥白い着物に良く合う。


「クスッ…
綺麗ですね」

後ろから総司が鏡を覗いている、そんな総司につい顔が赤くなってしまう。


「似合っていますか? 」

「えぇ、選び方上手いですねー」

満足そうに瑠衣を見る総司、自分の為にこんな事してくれるのだから、嬉しくない訳がない。


「…総司が…
喜んでくれるならば…」

何時もの勝ち気な性格は何処へやら…
頬を染めて自分を見る姿は、どっから見ても女性そのもので……
総司の心を温かくしてくれる。


「そう…はい…」

総司は箱に入った簪を瑠衣に手渡した。


「本当に…
使う事‥無いですよ??」

「良いのですよ」

箱の中には、桜の花びらをあしらった細工の細かい簪が入っている。


「ありがとう…
大切にします………」

「えぇ」

主人に礼を言い店を後にする……




そのまま二人は手を繋いで祇園まで歩く…

島原という手もあったが、組の人間に遭遇する確率が高い、だから敢えて離れてる祇園を選んだ。


「瑠衣、意外と京料理が好きでしょう??」

祇園の中を歩きながら、総司は瑠衣に話掛ける。

「好き‥というより、あまり食べれないので、見た目も綺麗ですし…」

屯所の料理は関東風の味付け、良く出る京野菜は壬生菜が主体だったりする。


「だから、料理が美味しい料亭を選んだのですよ」

「総司、良くそんな金子ありましたね…」

甘味命の総司は、大概甘味で給金を使ってしまう………


「瑠衣…
それはキツいです……
私だとて全て甘味に注ぎ込んでいません」

瑠衣の考えが読めたのか反論する総司、ひと月分の給金の甘味…
それも幹部隊長格……
考えるだけで‥鳥肌が立つ。


「クスッ…
そう言えば刀にも使っていましたもんね」

クスクスと笑いながら、チラッと総司を見てまた笑ってしまう。


「瑠衣ー」

「クスクス…
ごめんなさい」

手を繋ぎ、祇園を歩く美男美女の二人組…
回りは驚き二人を見る。


「相変わらずこういう視線は馴れませんねぇ…」

「それは私もです…」

別に目立ちたい訳では無い、勝手に目立つが一番合っている気がする…


此に土方が居れば、島原の二の舞である・・・
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