この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第30章 "桜"

「瑠衣だから夢中になってしまうのですよ」
「…馬鹿………」
抱き締められた腕の中で、瑠衣は総司に一言呟く。
「クスッ…
それ瑠衣の口癖ですねぇー」
「なっ……!?」
顔を真っ赤にして総司を睨む。
「その姿で睨まれたら、逆に襲いたくなりますねー」
「そんな………」
「そんな瑠衣も好きなのですよ私は…」
「・・・・・・・」
今日は口で総司に勝てなそうだ……
瑠衣は大人しく総司に身を預ける。
「本当に…
その姿だと私の自制心が保ちませんよ……」
「総司…」
「料亭に‥戻りませんか?
それともまだ夜桜見物を堪能します??」
瑠衣は暫く考え、赤い顔で総司を見上げた。
「料亭に…戻り…ます………」
総司はニッコリ笑い、まだふらつく瑠衣を支えながら、大木から離れた。
そのまま夜桜を見ながら料亭への道を辿る、その頃には瑠衣も普通に歩いている。
「…総司……」
「えぇ、分かっています」
後ろから後を付ける輩が数名…
こんな時に出くわしたくは無いのに……
目的の料亭には進まず、祇園の手間で路地に入る。
そのまま相手が来るのを待つ二人……
暫くすると、刀を手に持った浪士が六人、二人の前に姿を表した。
「壬生浪の沖田だな…
仲間の恨みだ……
女は上玉だ、後で可愛がってやるぜ」
目的はあくまで総司か…
「総司…
一人三人で妥協しませんか?」
「今日は返り血を浴びるのは嫌ですね」
「それは私も同じです」
瑠衣は腕輪を外し、その手に握り締める、すると何時もの大刀が姿を表す。
「では、返り血を浴びた方が、何でも言う事を聞く‥どうですか?」
総司の言葉にニヤリとと笑って承諾する瑠衣。
総司も刀を抜いて構える。
「さて…
雑魚はさっさと付けましょうか……」
その一言で、総司と瑠衣は浪士に突っ込んで行く!
『ズシャ…シュン…ドカッ』
何事も無いように、瑠衣は浪士を斬り捨てる。
『シュン…シュン…ドカッ』
総司も一瞬で浪士三人を斬り捨てていた。
「はぁ…
あっけないですねぇー」
「無駄な手間が無くて良いです」
瑠衣は既に大刀を腕輪に戻している。
「それもそうですね、さっさとこの場を離れましょう」
「はい」
斬り捨てた浪士を置き捨て、二人は祇園へと向かう。

