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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第31章 "壊"
ぐるぐると考え過ぎて、眠気も覚めて来る。
「はぁ…」
つい吐かなくても良い溜め息が出てしまった。
「・・・眠れませんか?」
突然の総司の言葉に少々驚く、起こしてしまったのだろうか?
「すみません、考え事をしてましたらつい…」
申し訳無さそうに肩をすくめ、寝てる筈だった隣の総司を見る。
「・・・・・」
その顔は無表情に此方を見て…
「・・・先生?」
「あなたは考え過ぎですよ…
もう少し余裕を持っても良いのでは無いですか?」
「…すみません…」
完全に仕事用の口振りに、謝る事しか出来ない瑠衣、此でも上司と部下の立場…口答えは出来ない。
「考えるなとは言いません、ですが考え過ぎるのも程というものがあります」
「・・・・・はい…」
確かに其の通りで、返す言葉も無い…
「さっ…もう眠りましょう」
「…はい」
瑠衣は総司とは反対方向を向いて、無理矢理眠りに着いた。
昼間ー
隠密活動ということで、吉田屋から外に出る事も出来ず、瑠衣は窓から外を眺めている。
(乱闘事件現場の前にいるんだよね…)
亡き芹沢が起こした力士達との乱闘事件…
確か一人亡くなっているんだったけ…
それで良く親方は和解を申し込んだものだ。
どういう経緯かまでは知らないが、向こうも相当の決断だったのだろう。
「橘さん?」
お茶と甘味を持ち、部屋に入って来る総司、この緊張の中でも甘味を忘れないのは流石………
「何でしょうか先生」
窓から離れ、座布団に座る瑠衣、何時もと違い今日は礼式に従い下座に座る。
「余り緊張しても仕方が無いですよ、どうですか甘い物でも?
少しは緊張がほぐれますよ」
総司は上座に座り、茶と団子を置く。
「・・・頂きます…」
仕方無く、団子を手に取り口に運ぶ。
(・・・甘い………)
くいだおれと言うくらいなんだから、他にも何かあるだろう…
つい口から漏れそうになるのを必死に抑えたが…
どうやら、自分は本当に甘い物は苦手なようだ…
何処か、女性の範疇からズレてるような気もしないでも無いけど……
お茶で一気に飲み干し、なんとか一息つく。
「おや?
苦手ですか??」
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