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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第31章 "壊"
「手配終わりました、布団引きます」
瑠衣が船の手配を終わらせ、布団を引き始めた。
「明日は京ですね…」
その言葉に瑠衣の手が止まる。
「どうかしましたか、橘さん?」
「・・・・・いえ…」
思い出したかのように、また手を動かし出す。
「・・・言いたい事があるのならば、言った方が楽になりますよ??」
「・・・・・・・」
布団を引き終わり、瑠衣は総司に向かい真顔で座った。
「先生…
夢を見ませんか?」
「??
夢‥ですか??」
瑠衣は懐から術石を一つ取り出し、部屋に転がした。
「此で部屋の外に声が漏れる事はありません…」
その一言に、総司もやっと肩の荷を下ろす…
こういう時の瑠衣の術は確か、間違いは無い。
「はぁー
少々肩凝りましたぁ」
「ですよね…
ですから気晴らしでもしようかと……」
「気晴らし‥ですか?」
総司は不思議そうに首を傾げる。
「えぇ…
京から出れる事もそうありませんし‥京に張られている結界の外に居ますから、今ならば長距離転移が出来ます」
「・・・それで??」
「富士の山‥分かりますか?」
「えぇ勿論ですが…何故?」
「行って見ようかと思いまして」
総司は驚き目を丸くする。
「此からですか!?」
「はい、転移なら山頂の社まで行けます…
御来光綺麗ですよ」
この時代富士山山頂といえば命がけ…
生きて帰れる保証が無いのが普通。
「自分が信用出来ませんか?」
総司は首を横に振る。
「いえ…
信用してますよ‥誰よりも…
行きましょうか」
そんな総司に瑠衣は微かに笑う
…此が総司にしてあげられる最後の・・・・・・・
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