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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"


「えっ?????」

刀は持っている感覚があるのに殆ど重さを感じない…
そのあまりにもの差に目を丸くする。

「すみません忘れていました…」

瑠衣はすまなそうに首を引っ込めている。

「万が一何かあってはいけないので普段は封がしてあるんです…
自分が大丈夫と思う方のみ、その刀は抜けます」

「封…ですか?」

総司は刀を持ちながら不思議そうにそう聞き直す。

「はい、石のように重かったですよね?
それは封の力で他人には持ち上げる事も刀を抜く事も出来ないように朱雀様が封をして下さっているんです」

本当は自分なのだが‥朱雀様が封を施した事には変わらない、どの朱雀でも朱雀は朱雀だ。

「でも今は羽のように軽いですねぇ…」

「えぇ…それが本来なんです」

総司は瑠衣の刀を引き抜いた…
先程の"鬼"と対峙した時にも見たように、光の加減で刀身は赤く見えたりする。

「不思議な刀ですねぇ…
重さを感じず、血のように赤く見える時がある…
本当に妖刀なのですね」

「はい、自分の意思の同意無い方が引き抜けば、刀は敵味方問わず襲いかかるでしょう…」

本来は朱雀の刀なのだから御神刀に入る、だが刀自体の力があまりにも強すぎて一族の者でも普通の人間でも力に飲まれてしまう、だからあえて瑠衣は妖刀と言ったのだ。

「とんでもない刀ですねぇ…
しかし今は大丈夫のようですよね?」

「はい、沖田先生は自分が同意したので、触れても使用しても何も問題はありません」

朱桜刀は朱雀が認めた一族人間には牙を向けない…
抜いても使用しても、ただ異常に軽くて切れ味の良い刀だ。

「…不思議ですねぇー」

しげしげと刀を見る、一見はかなりの業物の刀としか見えない…
幾ら総司でも妖刀と呼ばれる類の刀にはお目にかかった事は無かった。


「・・・あまり見ていると祟りますよ沖田先生…?」

「えぇっーー!!」

瑠衣の言葉に慌てて刀を鞘に納める総司。


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