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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第31章 "壊"


「この場合、誰かが一緒に行くのは野暮ですよ、それに自分も島原とか、女子とか余り興味無いんですが…」

「うっ…」

藤堂は涙目で瑠衣を見上げている‥が、駄目なものは駄目だ。


「瑠衣なら、一緒に行ってくれると思ったのに…」

「すみません、自分隊務なら意地で我慢しますが…
どうも島原の遊女の白粉の匂いが苦手なんです、多分四半時も保たないかと……
申し訳ありませんが他を当たって下さい」

瑠衣はすまなそうに肩を竦めるが、此処で負ける訳にもいかない。


「瑠衣ー!」

「はぁー
無理なものは無理です…」

「んー分かった…
他を当たって見る」

しゅんと沈んだ藤堂が、静かに部屋を出て行く………


(平助…
ごめん……)


心の中で謝りながらも、どうしても協力出来ない、それに協力すると、当代様との待ち合わせに間に合わない。

座布団を片付けながら、悪い事したなぁ‥と思ったりはする。


(もう少し早く相談にくれば、乗れたかも知れないのに…)


仕方が無く、もう一度書物を開いた………





『パーーー――――――ン』


今日も黒の術石の破壊する音が響く。

この場所は低級十匹、上級八匹と、それなりの数だった。


「残り一つだな…
どうせならこのまま行くか?」

「明日回しも面倒ですね…
どうしましょう…??」

最近は上級と戦うのも、防護結界のみで済むので、力にはかなり余裕がある…
もう一つ‥行けなくも無いが。


「その様子ならやる気だな…
行くぞ!」

二人は最後の術石に向かう。




最後の場所…
これで結界は消える。

瑠衣は頷いて当代様に合図した。

当代様の朱桜刀が、赤い軌跡を残す。



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