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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第32章 "宋"


刀と隊服を手に斉藤が歩いてく来た、まさか此処までバレるとは……


「何だか大所帯になりましたねぇー」

「本当ですね…
総司、三人に符を分けてあげて下さい。」

符は十三組、一人三組は持てる。

総司は三人に符を渡し使い方の説明中。

その間に土方と斉藤は隊服を羽織り、しっかり準備している。


「さて行くか」

予想外の総司・土方・斉藤・山崎を連れ、裏からで無く、屯所の門から堂々と出発した。





夜の京に、浅葱のダンダラを翻した五人組…
誰にも見られる事は無いが、誰もが堂々と歩いている。

山崎も、忍装束の上に着流しを着て隊服を羽織っているらしい。

此が新撰組だと言わんばかりに、その姿は揺るぎないものである。






京の北、土方は地図を取り出し位置を確認。


「昨日の話しならばこの辺りになるんだが」

見渡しても建物一つ無く、草原や竹林があるばかり。


「おかしいですね…」

瑠衣も不信感を露わにして辺りを見回し…
この辺りは何度も捜索している、なのに何故??


「お前ら呼び子は持ってるよな、だったら少し手分けして探すか」

皆頷き散会して探し始めた…



総司は躊躇い無く、中央を進む…


"ピシッ・・・・・"


小さく何かに触れた感覚が、総司を支配する。


「ん??」

立ち止まり、近辺を隙無く探す……


「…これは??」

しゃがみ込んで良く見ると、細い線のような物が見える。

今までからの経験で、結界は線で繋がっている事は知っている。


「という事は…」

これが結界だとしたら、この線を断てば良い。

総司は大刀では無く、御神刀である脇差しを引き抜き、線に突き立てた!!


『キィィ―――――ッ』


不思議な音を立て線が薄くなっていく、総司慌てて呼び子を吹いた。


"ピィ―――――――――"


呼び子の音に反応して、瑠衣達も総司の方に駆けて来る。


「どうしました!?」

「此を見て下さい」

総司は脇差しを突き刺した場所を差す。

其処には結界線、薄くはなっているが、完全には解術出来てない。


「こんな分からん所にあるんか…」

山崎も複雑な顔して線を見ている。
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