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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第32章 "宋"



『グサッ…ザンッ…ズシャ…』


土方も真っ直ぐ突っ込む!!


「はぁぁぁ!!」


『ザンッ…グサッ…』


「此で終わりか?」

「そのようや、忍は橘達を追い掛けたさかい、外はもう気配無いで…」

「そのようだな…」

辺りは死体の山、流石にこの人数で二十人程はキツい。


「はぁ…
橘達を追うぞ」

刀を持ったまま、神社へと歩き出す土方、斉藤、山崎…
三人共に返り血で隊服が赤く染まっている。







慎重に廊下を歩く総司と瑠衣…
どうやら敵の主力は外だったようだ。

偶に出て来る浪人や忍を斬り倒し奥へと向かう…

通り道に部屋はあるが人気が無い方が多い、外に回ったのか、それとも初めから居ないのか…

一番奥に厳重な扉がある、多分‥宋永輪は此処にいる。

瑠衣は扉に触るが、別段罠らしいものは無い。


「黒幕とのご対面だ…」

「えぇ…」

お互いに目で合図して、瑠衣は奥の扉を開けた・・・・・





部屋の中は神社の祭壇、ただ普通と違い祭っている物も飾っている物も何も無い、ただ蝋燭が数本灯っているだけ。

その前に六方星が怪しく光っている、雷の原因は此だ…!!

その更に手前に男が一人、陰陽師の服を着て、髪は下ろしたまま背くらいまである。


「くくく…
良く来たな……」

男が此方を向く…
切れ長のキツい目、痩せた頬、立てば背は高いだろう。

何とも滑稽な姿・・・


「お前が宋永輪か…?」

「…そうだ……
良く此方まで来た‥手厚く歓迎しなくてはな」

永輪は印を結ぶ…


「"伏して願い奉る…北に水南に火西に風東に地…四の力よ我に力を…我を邪魔する敵にその洗礼を与えよ"」

しかし永輪の術は発動しない。


「!?
何故だ???」

「無駄だ、四神様は貴様を敵と認めた、だから自然がお前に力を貸す事は無い…」

「くっ…
気付かれたか……
ならばこれでどうだ?」

永輪はニヤリと笑う。


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