この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第32章 "宋"
『グサッ…ザンッ…ズシャ…』
土方も真っ直ぐ突っ込む!!
「はぁぁぁ!!」
『ザンッ…グサッ…』
「此で終わりか?」
「そのようや、忍は橘達を追い掛けたさかい、外はもう気配無いで…」
「そのようだな…」
辺りは死体の山、流石にこの人数で二十人程はキツい。
「はぁ…
橘達を追うぞ」
刀を持ったまま、神社へと歩き出す土方、斉藤、山崎…
三人共に返り血で隊服が赤く染まっている。
慎重に廊下を歩く総司と瑠衣…
どうやら敵の主力は外だったようだ。
偶に出て来る浪人や忍を斬り倒し奥へと向かう…
通り道に部屋はあるが人気が無い方が多い、外に回ったのか、それとも初めから居ないのか…
一番奥に厳重な扉がある、多分‥宋永輪は此処にいる。
瑠衣は扉に触るが、別段罠らしいものは無い。
「黒幕とのご対面だ…」
「えぇ…」
お互いに目で合図して、瑠衣は奥の扉を開けた・・・・・
部屋の中は神社の祭壇、ただ普通と違い祭っている物も飾っている物も何も無い、ただ蝋燭が数本灯っているだけ。
その前に六方星が怪しく光っている、雷の原因は此だ…!!
その更に手前に男が一人、陰陽師の服を着て、髪は下ろしたまま背くらいまである。
「くくく…
良く来たな……」
男が此方を向く…
切れ長のキツい目、痩せた頬、立てば背は高いだろう。
何とも滑稽な姿・・・
「お前が宋永輪か…?」
「…そうだ……
良く此方まで来た‥手厚く歓迎しなくてはな」
永輪は印を結ぶ…
「"伏して願い奉る…北に水南に火西に風東に地…四の力よ我に力を…我を邪魔する敵にその洗礼を与えよ"」
しかし永輪の術は発動しない。
「!?
何故だ???」
「無駄だ、四神様は貴様を敵と認めた、だから自然がお前に力を貸す事は無い…」
「くっ…
気付かれたか……
ならばこれでどうだ?」
永輪はニヤリと笑う。
・