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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第32章 "宋"


「"我願う…"鬼"よ出よ我の力となり敵を討て!!"」

黒い方陣が瑠衣達の前に現れた。


「召還術か…」

方陣の中から"鬼"が姿を現す…


「面倒だな…」

瑠衣は腰の袋を一つ取る、それを方陣に向かい投げる。

袋の中から術石が八つ転がり出し、方陣の外側で八陣結界を形成。

"鬼"は瑠衣の結界に阻まれ外に出れない。


「ほう…
貴様術式を使うのか…
ならば遠慮はしない」

永輪はまた印を結ぶ…
これは瑠衣は知らないもの‥外法だ!!

昔の言葉で真言を結ぶ永輪、瑠衣でも何があるか分からない。

刀を構え、術を見極めようとする。


「"出よ闘龍!!"」

「ちっ、そっちか!!」

方陣は龍を呼び出し召還…
瑠衣は刀を収め、素早く印を結ぶ…


「"我伏して願い奉る…南の朱雀よ炎を貸し与え給え、炎よ龍となりて我の力となし敵を討て"」

瑠衣の前にも方陣が現れる、中から炎を纏った龍が現れ、永輪の黒い龍に向かって行く!!

わざわざ当代様の力を借りたのは知らせる為、それと自分の力を隠す為。

今、自分が炎の術を使ったのを、直ぐに当代様は気付くだろう。

後は援軍待ちだ…
それまで一人で保たさないといけない。

黒の龍と火の龍は激しく交錯し、お互い水と炎を吐き合っている。


(火だけでは弱いか…)


瑠衣は印を結び直す。


「"我伏して願い奉る…東を守護風を守護する白虎よ…その風の力…火の龍に貸し給え"」

風の力が方陣から湧き出て、火の龍に力を貸し"かまいたち"を形成。

火の龍の炎と風の刃、その2つを持って黒の龍を襲う。


「…くっ……」

永輪の額に汗が流れる、やられるだけ負荷は術者に跳ね返る。


「橘!!」

土方達が追い付いて、祭壇に入って来た。


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