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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第32章 "宋"
「うっ…!!」
永輪の力が強くなっている、このままでは不味い、せめて相討ちに持ち込まないと…
「"炎よ踊れ…我の意を汲み火宴を作れ…龍に踊れ…"」
火の龍の一部が分かれ、黒い龍に飛び移って行く。
「"色は朱から青に…青から白に…その身を焦がせ…"」
飛び移った炎は、色を変えて温度を上げていく…
黒い龍の体に穴が開いて回る…
火の龍の勢いが弱くなり、黒い龍も弱まりボロボロに……
瑠衣は何とか、ギリギリ相討ちに持ち込み、二匹の龍は互いを食い合い消えた。
「はぁ‥はぁ‥はぁ‥はぁ‥はぁ‥」
「はぁ…はぁ…やるな…ではこれならばどうだ!!」
永輪は懐から大量の形代を取り出し放つ!
瑠衣もそれを見て、人形代を握る。
「"カタシロよ…我の思い思うまま動け…"」
大量の形代が狼の姿に変化する。
「大量の犬かよっ!!」
握っていた人形代を離し永輪と同じ真言を唱える。
「朱雀様印だっ、やられないように気を付けな!!」
二枚の人形代は当代様の姿に変化、二人の朱雀様は刀を抜き、狼に"神足"で向かっていく。
瑠衣は一旦、総司達の方に身を引いた。
「大丈夫ですか!?」
すかさず、総司が声を掛けて来る。
「暫くは形代が相手してくれます、その間に此方は回復です」
瑠衣のいう通り、朱雀様の形代は桁外れに強い、狼を次から次へと倒してる。
瑠衣は土方達に振り向かないようにして、力の玉を使う。
「はぁ…
なかなか来ないですね……」
このまま宋永輪を倒せればそれで良し、出なければ本当に当代様待ちだ。
「わいら何も出来へん…」
山崎がぽつりと零す。
「…山崎さん、術勝負ばかりは仕方ないです…
此ばかりは教えて覚えられるものでは無いですから」
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