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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第32章 "宋"
こんな術勝負なんか出来るのは、日本中探してもそう多くは無い…
こっちが特殊なだけだ。
「…とんでもないな……」
土方の方がまともな意見。
此処は平安時代じゃ無い、幕末だ…
陰陽道は廃れてる筈……なのだから。
二人の朱雀様は狼を全て倒し、永輪に向かって走る!
『ビシッ!!』
だが、永輪の防護結界に阻まれた。
(やはりか…)
いくら姿や技量を真似ても、刀だけは真似出来ない…
形代の限界。
永輪は、手を二人の朱雀様に翳す。
『ド―――――ンッ』
雷が二人の朱雀様を襲う!
二本の雷は、正確に形代に当たった!!
一体は紙に戻り霧散した‥が、もう一体は防護結界で弾き返した!!
「・・・・えっ!?」
形代は術は使えない…
まさか!!
「ふっ…
来ないと思うたか?
橘、そなたが形代を使った時点で入れ替わった」
今、永輪と対峙しているのは本物の朱雀様…
自分すら騙されていたようだ。
「さて…
本気で相手しようかのう宋永輪……」
「まさか本物が居るとは…」
永輪も驚き目を見開いている。
「先ずは、お前を有利にするこの神社からだ…」
朱雀様‥当代様は改めて刀を抜く、その刀の先に炎を作り出し、神殿内部を火の海にしてしまった。
瑠衣は我に返り、土方達を見る。
「焼け落ちますよっ、副長逃げますよっ!!」
「あ‥あぁ…!!」
瑠衣達は元来た道を走る…
炎は更に広がり瑠衣達を追って来る。
「何だか朱雀様は桁外れですねぇー」
「総司!
そんな事言ってる場合じゃ無いぞっ!!」
「そや、炎に追い付かれたら仕舞いや!!」
全力で走る土方達、追い付かれるギリギリで外に脱出する事が出来た。
「「「「はぁー」」」」
神社を見ると、もう火の海だ、当代様は心配は無い。
宋永輪はどうなった??
焼け落ちる神社を見ながら、瑠衣は宋永輪の生死を確認出来ないのが、引っ掛かって堪らない。
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