この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第32章 "宋"
何時までも転移で避けて回るのは力の無駄遣い…
ならば一撃に賭けてみるか。
(もし失敗したら、後は青龍、白虎、玄武‥頼むぞ…)
当代様は避けるのを止めて立ち止まった。
そして、朱雀剣技独特の構えを取る。
「"我の全ての力今此処に…炎よ不死の鳥よ…」
結界の中で見ていた瑠衣の方は焦りを感じる。
(あの構え、あの真言‥まさか!!)
あれは朱雀最強の技…
だが当代様一人で、あの巨龍を倒せるか!?
瑠衣は考えるより先に行動に出た!
朱桜刀の力を解放し、結界から抜け出し走る!!
そして、朱雀剣技の構えを取り朱桜刀に己が血を吸わせ……
真言の詠唱が当代様の方が早い、瑠衣は早口で当代様と同じ真言を唱える。
「「"我が身我が力全てを我が分身の鳥…鳳凰に託す…」」
「・・・」
「・・・」
当代様と瑠衣は同時に空に飛び上がり、その時二人目が合い頷き合う。
「「"炎と鳳凰よ全てを包み焼き尽くす最強の鳥になれ…朱雀秘奥義…朱雀鳳凰天昇!!"」」
瑠衣の瞳が赤く輝く…
二つの朱桜刀から赤白い炎が現れ巨大な鳳凰の形になり、周りを回り巨龍を包み込む!!
当代様と瑠衣は、それぞれの鳳凰の上に居る…
我が身の分身鳳凰と共に。
鳳凰は巨龍の周りを回り炎を振りまく‥そして…
「「はぁぁぁぁぁ!!」」
瑠衣は巨龍の喉を、当代様は巨龍の首を突き刺した!!
朱桜刀は巨龍を貫き通し、其処から更に炎が吹き上がる。
総司は空を見ながら考えていた。
(今ならばもしかしたら…)
大刀では無く御神刀の脇差しを抜き、結界を抜けて最大速度で走る!!
走る先には永輪が居る…
永輪も空を見上げ、事の成り行きを見ていよう。
その隙を狙い、総司は永輪の心の蔵を目掛けて御神刀を突き出した!
・