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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第32章 "宋"
「・・・うっ……」
瑠衣が少し身動きをする。
そしてうっすらとだが瞳が開いた。
「・・・・・玄武‥様?」
「そうだ…
もう少し力の回復に時間が掛かる、眠った方が良い」
「えぇ‥しかし……」
「瞳が赤いままだ」
「あっ…」
自分を抱き抱えているのは、温もりからして総司だと分かる。
「それは…
心配あり‥ません……」
「そうか…
ならば良いが」
「玄武、その男ならば心配はいらん、全て知っておる」
此方に来た当代様が、玄武様に訳を話す。
「…なる程な……」
「…沖田よ……」
「はい」
当代様は総司を見て、珍しく普通に笑った。
「宋永輪を殺ってくれた事、橘を助けた事、礼を言わねばならぬな」
「いえ‥私は…」
「お前が、あの男を殺さなければ此方が危なかったのは事実だ」
「・・・・・・・」
当代様は手の平を出すと、其処から赤い水晶が出て来た。
「せめてもの礼だ、どうしても困った時に、この水晶を思い出して願うがいい、一度だけ助ける」
総司の手に、当代様の水晶が乗る。
「あっ、わいもー!」
「我もか…」
「当然俺もだな…」
青龍・白虎・玄武…
それぞれの青・白・緑の水晶が次々総司の手に乗った。
「一つの水晶に願いは一つ、良く考えて使う事だ」
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