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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"
その分力の消費も莫大…
考え無しに使うものでは無いのは分かっているのに、当代様の詠唱を聞いて、もし一人で駄目だったらと思ったら、体が勝手に動いていた。
『シュン‥シュン‥シュン』
(この程度ならば、直ぐ元に戻るか…)
雑念を捨て素振りに没頭する、たっぷり一刻半、素振りをして体も解れた所で手を止めた。
「そういえば、今日は昼から巡察だった………」
慌てて木刀をしまい、井戸に走る…
暑さも本格的になり汗だらけ。
井戸で手早く汗を流し、自室に着替えに向かう。
自室には書類書きしている総司が居る。
「今日の巡察昼からでしたよね??」
総司は筆を置いて、此方を見た。
「えぇ、そうですが出るんです・・・うわっ!!」
着替え中の瑠衣は、いきなり箪笥の中に何故かあった苦無を、総司に向かって投げ付ける。
「む・こ・う・向いてて下さい」
「はいっ!!」
慌てて文机に向かう総司、その横にはまだ苦無が刺さっている。
「・・・・・・・」
「巡察出ますよ…
何時までも休んでもいられませんから」
着替え終えて、文机の横の苦無を引き抜く。
「…瑠衣……
どうして箪笥の中にに、そんな物が入っているのですか・・・・・」
「たまたまです…
前に使った残りですね」
苦無を回して平然と言う。
「部屋の中で武器は止めましょう…
幾ら私でもしませんよ」
「はぁ…
仕方が無いですね‥分かりました」
押入を開けて、山崎印の道具箱の中に苦無を入れる。
本当は身辺整理で、他の物も沢山入っているのは秘密。
本当に苦無はたまたまで、箪笥の中はもう着替え数枚しか入って無い、後は全て処分か箱の中に詰め込んだ。
「総司、とりあえず昼餉食べて来ますがどうしますか?」
「あっ…
私も行きます」
二人は昼餉を食べに、炊事場へと向かった。
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