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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第33章 "乱"


「必要だった‥ですか?」

「えぇ…
必要だった‥ただそれだけです」

「それで、あれだけの語学力ですか凄いですねぇ」

瑠衣は山南から視線を外し、外の庭を見る。

「・・・
凄くなど‥無いです………」

無表情に庭を見る瑠衣からは、何も読み取れない。

山南は瑠衣の人生に何かあったと、なんとなく察しはする。


「すまないね、余計な事を聞いてしまった」

「いぇ…
それより山南さん、ちゃんと静養して下さい、では自分はこれで…」

山南に一礼して、瑠衣は部屋から出て行く。


「不思議ですね…
まるで居なくなるような感じがします」

夏の日差しを避けて、廊下の隅を歩く瑠衣を見ながら山南はそう思った。






瑠衣は次に近藤の部屋を通り掛かる。


「おーぃ橘君ー!」

部屋の中から瑠衣を呼ぶ声がするのだが?

立ち止まり近藤の部屋を覗く瑠衣…
其処には、書類に埋もれてる近藤の姿が…………


「ど‥どうしたんですか局長!?」

書類を掻き分け、近藤を救出。


「あーすまないね、変な所を見られてしまった…
書類が溜まり過ぎてね、障子が開けっ放しなものだから、風が吹いて書類が散乱してしまったのだよ」

見渡せば、部屋中書類が散乱している、しかしこの量は……


「・・・・・
片付け‥手伝います」

「悪いね」

その後たっぷり一刻程掛かり、風に飛ばないように書類を細かく分けて置く、その上にその辺にあった重みのある物を乗せて一段落…………


「綺麗に片付いたね、それに細かく仕分けしてくれたお陰で、分かり易くなった」

「いえ、局長が書類に埋もれてる姿を見られるのは不味いですから…」

「ぁはは…
確かにそうだ」



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