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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第8章 "常"
(朝からご飯四杯・・・)
多分予測だが、その後に甘味なんかが付く筈である。
(ある意味本当に化け物だよ・・・)
思い出して胸焼けしそうなのを堪えつつ、朝兼昼餉を貰い、面倒なので自分も炊事場で食べ始める。
「そういやぁ、橘ちゃん隊務はもう馴れたかい??」
お盆に乗せた暖かい味噌汁を渡してくれながら井上は聞いてくる。
「はいっ、もうすっかり‥と言っても殆ど沖田先生と二人行動なんですけどね」
"鬼"担当という事で隊服を着ず、その代わり広範囲に"鬼"を探す為、山崎や島田が応援に付く事になった…
監察方は"鬼"を見つけるのが主で、実戦は総司と瑠衣である。
「橘さん、私と山崎さん忘れてますよ…」
くすくす笑う島田。
「だって、なかなか目の前に姿見をせてくれないんですから…」
ちょっと頬を膨らましてみて瑠衣は言ってみる。
「忍が目立ったら話にならん、屋根の上から指示出す方が向いてるやろ」
話の間に割って入り昼餉を貰おうと山崎が炊事場に入って来る…
今日は忍服では無い、いや昼間から堂々と忍服で歩く訳無いのだが…
短めに切った黒髪に男にしては綺麗な顔立ち、背は少し高めで細身の体躯、これが昼の山崎蒸の顔である。
因みに昼餉は任意制、外で食べる者、巡回中の者、様々居るからである。
「えー!!
山崎さんってそんなに偉い??」
「偉いでぇー、なんせちゃんと"鬼"見ぃつけてるさかいにな」
「ちぇっ」
瑠衣の隣にお膳を置き、山崎も昼餉を食べ始める。
「そいえば沖田先生は?」
起きてから今日は屯所で総司の姿を一回も見ていない。
「非番やから甘味処ちゃうかー??」
「甘味・・・・・」
甘味と聞いて瑠衣の箸がピタリと止まる…
「なんや橘、甘味苦手なんか??」
「どちらかと云えば苦手な部類ですね…」
「意外やなぁー
好きそうに見えるんけど…」
「見た目で判断しないで下さいっ!!」
本気で不機嫌そうな顔になってしまう、どうも総司との甘味処の一件以来甘い物にはかなりの抵抗がある。
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